アメリカでは個人が投資を行うことが当たり前なので、ファイナンシャルプランナーが身近な存在とされています。アメリカではファイナンシャルプランナーは医師や弁護士に次いで社会的な地位が高いそうです。
アメリカでは小学生から金融教育が行われるため、ライフプランやファイナンシャルプランニングも普通に行われています。
ライフプランやファイナンシャルプランニングというと、なんだか難しそうに聞こえるかもしれませんが、実際は身近な事に関することが多く、そこまで難しくありません。
例えば、保険の加入についてや、マイホームの購入、老後に係る資金のことなど、いずれも生活に身近な話ですが、これもファイナンシャルプランニングです。
お客様の将来の夢や希望をもとにライフプランやファイナンシャルプランニングのプロとして相談に乗るのがファイナンシャルプランナーといわれる人たちです。
ファイナンシャルプランナーに頼まなくても自分でライフプランやファイナンシャルプランニングを立てる人もいます。
そのためには社会保険や投資といった予備知識が多少必要ですが、ライフプランを自分で立てることはそこまで難しくありません。
無意識にファイナンシャル・プランニングしているかも
マイホームを手に入れたいとか子供の教育資金を貯めたいといった資産に係ることはお金がかかります。むしろ人が何かの計画を立てようとするとお金がかかることの方が多いです。
ファイナンシャル・プランニングとはお金に係る計画のことをいい、毎月3万円貯蓄するとか3年で100万円貯めるといった誰でも行っているようなこともファイナンシャル・プランニングです。
このようにファイナンシャル・プランニングは特別な事でも何でもなく、無意識に行っていることも多いです。
ライフプランの意味は人生設計ですが、ライフプランと言った場合は、お金に関する人生設計を指すことが多いです。
中には、ライフプランもファイナンシャルプランニングも同じ意味として使っている人もいます。
私も似たようなものですが、ライフプランは人生設計、ファイナンシャルプランニングは資金計画というのが近いようです。
ライフプラン自体は難しいことではありませんが、キャッシュフロー表を作成する場合に金融、税制、不動産、住宅ローン、保険、教育資金、年金制度などの幅広い知識が必要になるので、そのあたりだけ難しいかもしれません。
ライフプラン実現のためのファイナンシャル・プランニング
ファイナンシャル・プランニングの前に、ライフプランについてもう少し詳しく説明します。
ライフプランとは「30歳までにマイホームを購入したい」「子供の大学進学までに300万円の教育資金を準備したい」「老後は田舎で暮らしたい」といった誰しもがもっている夢や希望の人生計画をいいます。
お金の面からライフプランを達成するために計画したものがファイナンシャル・プランニングです。
ファイナンシャル・プランニングの達成のためには、金融、不動産、住宅ローン、税金、資産運用、相続、社会保険、保険、教育資金といった知識が必要になります。
ライフプランを立てる→目標ができる→ファイナンシャルプランニング→実行→修正・改善→達成
今までの日本では、不動産の購入は不動産会社、住宅ローンの相談はや銀行に、相続については弁護士や税理士、資産運用であれば証券会社や保険会社と、分野ごとに独立して相談することが当たり前でした。
しかし、これらのことに共通するのはお金に関する問題ということです。
住宅ローンの相談・教育資金の相談・老後資金の相談を独立したものとして捉えてしまうと、お金についてトータルで見ることができません。
- 住宅ローンにお金をかけ過ぎる→教育資金・老後資金不足
- 教育にお金をかける→家が買えない・老後破綻
- →バランスが大事
資産形成を相談する場合に、不動産会社に相談したらワンルーム、証券会社に相談したらファンドラップ、保険会社に相談したら生命保険、こんな感じで解決策が相談先で異なるのもおかしな話です。
資産形成やお金のことはトータルで見なければ、解決は見えてきません。
一つの解決策がキャッシュフロー表といったライフプランをもとにしたお金の流れを一覧にしたものです。
キャッシュフロー表を通して将来のお金の流れを知ることで、住宅ローンを組んだときの老後に与える影響、子供の進学と重なって資金の工面が苦しくないか等を見ることができます。
問題がある場合に、どうすれば達成できるかを考えるのもファイナンシャルプランニングです。
資金の積み立て計画について、選択肢の中から一人一人にあった提案をしてくれるのがファイナンシャルプランナーです。
マイホームの購入は特に注意(不動産×ファイナンシャルプランニング)
マイホームを購入しようと思ってローンを借りる計画がある人は特に注意が必要です。
住宅ローンを返済できるかどうかの判断についていうと、現状では年収によって判断されています。
したがって年収が同じ家庭であれば、子供が2人いる家庭も子供がいない家庭も金融機関は同じ額を貸してくれることになります。
このように住宅ローンの無理なく返済できる額(借入額可能額)の算出は、現在は年収で判断されています。
子供がいない家庭と子供が2人いる家庭では、将来にかかる費用は大きく異なるのが普通です。
子供が2人いれば教育資金だけでも2000万円以上は必要で、それ以外の生活費だってかかりますから、子供のいない家庭と子供のいる家庭を比較して住宅ローンに充てられる金額が同じなのはおかしいはずです。
家庭ごとのライフプランを無視すれば、老後に破綻する可能性は低くありません。
ライフプランを言い換えるなら、生涯に稼いだ、限りある収入について、何に使うか、どのように分配するかの計画です(分配計画)。
生きているうちに入ってくるお金が限られている以上、マイホーム以外にも目を向ける必要があります。
いくらでも借りれるからといって無理なく返済できる金額を無視すれば、20年、30年という返済計画が破綻する可能性は高く、無事に完済できたとしても老後破綻は避けられません。
経済環境や今後の状況も考える必要がある
日本は、平成25年に65歳以上が4人に1人となり高齢化率が25%を超えてます。
現在の国民年金や厚生年金の老齢年金の開始年齢は、原則として65歳からとなっていますが、これは3人の現役世代で1人の年金受給者の生活を支えていることを意味します。
さらに今から20年後の平成47年には、3人に1人が65歳以上になる(厚生労働省)といわれており、2人の現役世代で1人の年金受給者を支えることになります。
日本は長引く不況の影響で非正規社員が増大し、リストラによる不安等から出生率が低下、また、ニートやフリーターの増加といったことによって人口の構成が大きく変化しました。
日本の人口は50年後には8000万人程度になるといわれており、これは今のカナダの総人口と同じ数の人が日本から消えるということを意味します。
将来、一人の現役世代が一人の年金受給者の生活を支えるとしたら、年金の給付額が今と同じ水準で受け取れるというのは考えにくいです。
現在の年金制度は発足した当時と比較して、大きく日本の年齢構造は変化しており、平均寿命も30年~40年延びています。
医療保険制度も同様で、負担額の増加や介護保険の成立、高齢者医療制度の成立と医療保険を取り巻く環境も大きく変化しています。
最近では老後に2,000万円必要といわれていますが、現在の現役世代が老後も今と同じ水準の生活を維持したいのであれば、今まで以上の老後資金が必要になるはずです。
ここ数十年で日本の経済環境が大きく変化したように、ライフプランも将来の予測を用いるため、大きな変化に対応するためには定期的な見直しが必要です。
- ライフプランを立てる→定期的な見直し→安心
ライフプランは出来ることからコツコツと改善させる
今から老後の話をされても実感がないかもしれませんが、若いうちの少しの苦労がファイナンシャル・プランニングでは大きな効果となります。
早いうちから対策を立てれば、時間を味方につけることが可能になるからです。
この時間を味方につけるという考えはライフプラン、ファイナンシャル・プランニングを考えるうえで大変重要なものになります。
例えば、定年までに老後資金として1億円が必要な人の例を挙げてみましょう。
老後資金が1億円必要といったら多くの人は驚くかもしれませんが、生活していくために必要な金額が月30万円と仮定して、定年後30年生きるとしたら、30万円×12か月×30年で1億800万円が必要です。
ただし、普通の人は国民年金や厚生年金といった公的年金が受け取れるので、年金を控除すれば老後に必要な金額は大分少なくなります。
年金受給額は、自営業や保険料納付済期間によっても異なるので一概には言えませんが、ここは平均的な家庭で必要とされる老後資金2,000万円~4,000万円というデータを用い、間をとって3,000万円を目標にします。
3,000万円を30年間で貯金しようとすると単純計算で8万円を超える金額になります。
3,000万円÷30年÷12か月≒8.33万円
しかし、これが時間を味方につけて30年間運用できるなら毎月の積立額はだいぶ楽になります。
30年間に3%、5%、7%で運用した場合
3% 毎月5.2万円
5% 毎月3.7万円
7% 毎月2.7万円
資産運用は長期の運用になればなるほどリスク管理の面で有利になることが実証されてるので、時間をうまく味方につけることが大事です。
今だったら、使途は老後資金に限定されますが、確定拠出年金に加入するのも選択肢としてはありかもしれません。