不動産

借地や底地というのはどんな土地をいうのか

投稿日:2018年1月29日 更新日:

不動産の扱いは、国によってけっこう違います。

例えば、アメリカやオーストラリアでは、土地と建物の所有者が異なることはないそうです。

 

しかし、日本では、土地と建物の持ち主が違うことは結構あります。

田舎だと土地が安いので、建物と土地の持ち主が同じなのが当たり前かもしれませんが、都心は借地も多いです。

都心だと土地が高いので、借地権の新築戸建でも5,000万円以上することは珍しくありません。

少し前に借地を活用してタワーマンションや商業施設を建てた例もあります(定期借地)。

土地の権利で代表的なのが所有権と借地権

不動産の持ち主を所有者といい、権利によって不動産を運用、処分、使用できます。この権利のことを所有権といいます。

 

不動産には土地と建物とがありますが、建物を借りているときの権利を借家権といい、土地を借りたときの権利を借地権といいます。

土地の利用権である借地権には、さらに地上権と土地の賃借権とがあります。

地上権は物権なので誰にでも主張でき、一方の土地の賃借権は債権なので当事者間で契約が有効です。

土地でも建物の保有を目的とした借地や借家は借地借家法という法律で保護されています。

 

借地借家法で保護される賃借権

借地権とは土地の賃貸借のことですが、借地権は不動産の賃貸借に関する特別法「借地借家法」によって規定されています。

 

上述したように、借地権には物権の地上権と、債権の賃借権とがあります。

地上権は物権なので誰にでも主張することができますが、賃借権は債権なので当事者間で有効です。

しかし、それだと立場の弱い賃借人が不利なので、借地借家法という法律で保護されてます。

建物所有目的の土地賃貸借と建物賃貸借といった場合に借地借家法が優先して適用されます。

 

不動産の権利を主張するには、民法では登記が必要とされています。

しかし、登記に協力してくれない賃貸人が多く、これだと賃借人が十分に保護されません。地上権は賃貸人の協力義務があります。

そこで借地借家法では、賃借権の登記がされていなくても土地の上に建つ建物の登記をしておくことで、後から土地の所有者が変わっても対抗(主張)できます。

判例では建物は表示の登記でもよいとしてますが、母親名義の登記では対抗力がないと判断されてます。

 

借地借家法の前の借地法(旧法)では、建物が古くなって朽廃すると借地権が消滅しますが、借地借家法では最初の契約期間なら再築が可能です。更新後は賃貸人の承諾が必要です。

建物が火事や地震でなくなってしまった場合は、土地の見やすい場所に立て看板をしておくことで第三者に対抗できるとされています。

 

所有してるのに使えない底地

土地の所有権があっても、その土地を他人に貸している場合は、価値が減ります。

借地借家法という法律では、借地権者が厚く法律で守られています。

借地権者が厚く守られているとはいっても、建物の所有者が建物を処分する場合は、土地の所有者の承諾を得ることが必要です。

しかし、土地の所有者が借地契約を更新したくなかったとしても正当な理由がなければできません。

 

所有はしていても他人の賃借権がついてる土地は底地ともいわれてます。

土地を自分で使っても、他人に貸しても所有権には違いありませんが、違うのは借地権が設定されてるかどうかです。

底地の場合は、土地を借りてる人がいるので、土地の所有者であっても自由に土地を使用することはできません。

 

日本では、借地権者保護が強いため、土地の所有者が他人に土地を貸すとなかなか返還してもらえません。

底地を保有していれば、賃料が入ってきますが、一般的に底地は収益が少ないといわれ、担保価値も低いといわれてます。昔からの賃料をそのままというケースも多いです。

もっとも賃料収入を得てるのは他の不動産投資と同じなので、やり方を見直すことで改善される可能性はあります。また、底地に特化した不動産業者もいます。

 

契約期間を決められる定期借地権

一度土地を他人に貸すとなかなか返却してもらえない問題をクリアするための比較的新しい借地権が「定期借地権」です。

定期借地権には、「一般定期借地権」「事業用定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」があります。

一般の普通借地権だと所有権者に正当な事由がないと更新を拒否できませんが、定期借地権として土地を貸し出せば、契約で定めた期間の経過によって土地が返還されます。

 

一般定期借地権

一般定期借地権は、50年以上の存続期間を定めれば、更新をしないことができます。

契約期間が終了した際は、借主は更地にして貸主に返却します。

 

事業用定期借地権

事業用定期借地権では、10年以上50年の範囲で借地の存続期間を決めます。

事業用の借地なので、住居は建てられません。住居以外の事業用建物を建てる定期借地権です。

契約期間終了後は、更地で借主から貸主に返却されます。

事業用借地の場合は、公正証書によって契約をします。

 

建物譲渡特約付借地権

建物譲渡特約付借地権では、30年以上の借地権の存続期間を決めます。

契約期間終了後は、建物と一緒に土地を返還し、貸主が建物を買い取ります。

借地人や借家人は、契約終了後も住み続けることができます。

建物譲渡特約付借地権契約では、借主が不動産投資物件を建てて賃貸事業を行い、建物譲渡後は貸主が賃貸事業を引き継ぐといった利用もできます。

 

住んでる人が所有者とは限らないからややこしい

ここまで書いてきたように、住んでる人が所有者か別ということは日本ではよくあります。

不動産は目に見えますが、気になる土地の本当の所有者が誰なのかは見ただけでは分かりません。

誰が所有者なのかを調べるには、直接、聞いてみるのもいいですが、最近は個人の情報がうるさく言われますし、本人以外だと分からないことも多いです。

 

不動産の所有者は法務局で調べられる

不動産の所有者を知るのに便利なのが法務局で登記情報を調べる方法です。

お金はかかりますが、誰でも登記情報を調べることができます。

登記情報を調べれば、対象の土地の所有者が誰で、不動産が担保にされているか、いくら借りたか、といったことも分かります。建物情報から状況も調べられます。

 

といっても法律で登記義務が定められているわけではありません。

そのため、実際の権利関係と登記上の権利関係が異なるケースがあります。実際、不動産を相続しても登記しない人がいます。

最近、日本では九州くらいの大きさの土地が未登記というニュースが出て話題になりましたが、北海道の広さになるのもそう遠くないそうです。

動産は占有の公信力があって即時取得も認められてますが、不動産の登記には公信力はないとされてます。しかし、登記をしておけば第三者に主張することはできます(対抗力はある)。

建築確認が不要な増築であっても登記をしたほうがいいです。未登記だと売却しようにもローンが通らなかったり、トラブルがありえるからです。

 

借地・底地といった土地の賃借権のまとめ

・底地権は、借地権が付いている所有権

・日本は、借主の権利保護が強く、同じ所有でも底地権とそれ以外とでは資産価値に大きな差がある。

・底地権者が借地権を買い取ると普通の所有権になる。

・普通借地権だといつになったら返却されるか分からないが、定期借地権であれば一定期間経過後に土地が返還される。

・法務局で登記情報を調べることで不動産の権利関係を確認できる。

・登記が実際の不動産の権利関係を表してるとは限らない。

  • この記事を書いた人

侍従川

横浜で不動産仲介業とァイナンシャルプランナーをしています。

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不動産だけでなく、ライフプランの相談にも対応してます。

担当:不動産、ライフスタイル、投資、雑用

追加:写真、資格、名所めぐり

資格:宅建士、管業、簿記1級、1級FP技能士、貸金、社労士、高所作業車

有酸素運動で脳を活性化させて予備試験に挑戦してます。

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