不動産

マンション管理のカギとなる3つの標準管理規約

投稿日:2023年9月14日 更新日:

分譲マンションでは、マンションの所有者全員で管理組合を構成し、区分所有法といった法律の規定に基づいて集会を開き、規約を定め、管理者を置いて運営されてます。

区分所有マンションには、専有部分やら共用部分、規約敷地やら敷地利用権と専門用語も多く、普通の人にとっては複雑で分かりにくいと思います。

マンションが適切に運営されるためには、区分所有法という法律に反しない範囲で自分たちで規約を定めることも必要です。

強行規定と任意規定

マンションは複数の人が同じ建物を利用するので、区分所有法という法律によってルールが決められています。

区分所有者は、マンションを購入したら当然に管理組合の構成員となり、他の所有者と一緒に建物、敷地、付属施設の管理を行う管理組合を構成します。

 

管理組合は、集会を開いて個々のマンションの実情に沿った管理規約を定めることができます。

中には集会の決議で決められるものもありますが、どれがそうなのかは法律によって規定されてます。

 

民法の契約自由の原則のように、ルールは区分所有者の自由な意思に基づいて決めていくのが原則ですが、全てが自由に決められるわけではありません。

たとえば大規模改修(重大変更)を議決権の半数で決議できると自分たちで決めたとしても、これは強行規定なのでやはり議決権の4分の3以上が必要になります。

このように自分たちが決めても法律によって無効となる強行規定がある一方で自由に決められる任意規定があります。

 

区分所有法と管理規約の関係

建物、敷地、付属施設の管理や使用に関しては区分所有法という法律によって定められていますが、規約で定めることができるものもあります。

たとえば、ペットを飼うことを禁止(許可)したり、管理を管理会社に委託する、といったことです。

 

区分所有法の条文には、規約や集会で別段の定めができると規定されているものがあります。

たとえば、専有部分の床面積は、壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積によるというのが区分所有法ですが、次の項で規約で別段の定めをすることを妨げないとあります。

これにより規約で別段の定めをすることで壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積とすることができます。

 

区分所有法に「規約により」とあれば規約で法律とは違った定めができ、「規約または集会の決議により」とあれば規約や集会の決議で法律とは違った定めができるということです。

 

区分所有法は基本的な法律をいい、標準管理規約は区分所有法で認められた範囲で自分たちが住むマンションの実情に合わせたルール(管理、使用についての)を具体的にしたものといったところです。

 

3つの標準管理規約

とはいうものの、不動産屋やマンション管理会社でない限り、普通の人は区分所有法も一般的な管理規約も知らないことと思います。

そういう人のためにあるのが標準的な見本(モデル)となる「標準管理規約」と呼ばれるものです。

あくまでも標準的な分譲マンションの管理規約のモデルなので、それぞれのマンションの実情に合わせて内容を修正したり、削除できます。

 

区分所有法に規定はないけど、標準管理規約でのみ規定されてたり、区分所有法に規定があっても標準管理規約で修正されてるものもあります。

たとえば、区分所有法では代理人に制限はありませんが、標準管理規約では配偶者や同居する親族等の制限があります。

また、軽微な共用部分の変更について、区分所有法では区分所有者および議決権の過半数による集会の決議で決めるとありますが、標準管理規約では出席組合員の議決権の過半数で決するとなっています。

 

マンションにも色々あるので、標準管理規約もマンションに合わせて3つの種類があります。

単棟型、団地型、複合用途型の3種類です。

 

単棟型

単棟型のマンション標準管理規約は、一般的な居住専用の分譲マンションを想定しています。

分譲マンションのほとんどはこのタイプなので、団地型と複合用途型はこの単棟型を修正した感じで作られてます。

 

標準管理規約はネットでダウンロードできますが、これだけだと理解や解釈が難しいので、規約の条文を解説したコメントも一緒にダウンロードすると分かりやすいです。

 

団地型

団地型のマンション標準管理規約は、一つの敷地に一般の分譲マンションが数棟ある形態を想定しています。

団地型では、団地内にある数棟の建物全部が区分所有建物で、敷地が団地建物所有者の共有に属しており、なおかつ団地管理組合において団地内の建物全部の管理・使用に関する規約が定められてるものが想定されてます。

 

団地というと区分所有マンションだけを想像するかもしれませんが、戸建てのみで道路や付属施設を共有してる場合でも団地関係は成立します。

団地には一括建て替え決議があるので、一括建て替え決議を想定して団地型の標準管理規約では建物全部が区分所有建物としているようです。

 

複合用途型

複合用途型のマンション標準管理規約が想定しているのは、主に低層階に店舗があり、その上の階に住居があるといったものです。

たとえば、1階にコンビニエンスストアやスーパーが入っていて、2階以上は住居といった分譲マンションです。

 

店舗部分と住宅部分があるので、共用部分には全体共用部分、住宅一部共用部分、店舗一部共用部分の関係が生じます。

住戸部分と店舗部分の区分所有者は、それぞれ一部管理費や一部修繕積立金といった費用を納入します。

また、店舗部分、住宅部分の区分所有者の意見を適切に反映させるために店舗部会と店舗部会を設けることとしています。

 

おわりに

標準管理規約は3種類

・単棟型

・団地型

・複合用途型

 

3つの標準管理規約は、国土交通省がコメントと合わせて公表しています。

https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk5_000052.html

 

私は仕事なので標準管理規約は今も読みますが、これからマンションを購入する人にとっても参考になるはずです。

マンションを適正に管理することが資産価値に影響することを思えば、購入したら他人任せにしないという心がけも大事です。

  • この記事を書いた人

侍従川

横浜で不動産仲介業とァイナンシャルプランナーをしています。

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不動産だけでなく、ライフプランの相談にも対応してます。

担当:不動産、ライフスタイル、投資、雑用

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