横浜市金沢区には、かつて横浜海軍航空隊の基地があった場所に「富岡総合公園」があります。
時々、サイクリングで横浜から三浦半島をまわるのですが、桜の時季は毎回立ち寄ります。
富岡総合公園は、横浜でも人気の桜の名所として知られてますが、桜の開花時期以外は人をあまり見かけない穴場の公園です。
季節は秋でしたが、近くに用事があったので公園内をまわってきました。
富岡総合公園の概要
富岡総合公園がある場所は、日本で初めて飛行訓練場として日本海軍航空隊基地が作られたところです。
戦後はアメリカ軍によって富岡倉庫として使われてましたが、1971年に返還され、1975年に富岡総合公園として開園しました。
国道16号線側の交差点、鳥見塚から浜空神社までの道は、桜並木になっていて、桜の時期は多くの人で賑わいます。
公園の広さは約22ヘクタールになる比較的大きな公園(都市基幹公園)で、桜の他にも梅、あじさいといった花が見れます。
公園一帯はなだらかな丘陵地で、街中では見かけない野鳥や昆虫も生息してます。
公園内からは、みなとみらいが見える北台展望台や、金沢の工場側の海が見える見晴らし台があります。
アスレチック広場には、遊具があるので子供も楽しめます。
また、公園内にはテニスコートやアーチェリー場、多目的運動広場もあります。
日本海軍航空隊基地があった時の門も残ってます。
浜空神社は追浜の雷神社に移築しましたが、神社の碑は見ることができます。
富岡総合公園を歩いてみました
公園の駐車場にクルマを停めて公園内を歩いてみました。
「つつじ坂」駐車場からしばらくなだらかな坂が続きます。他に人が全然いません。
汚れてほとんど見えませんが、公園内ではムクドリ、メジロ、ツグミ、ヒキガエル、ノコギリクワガタ、カブトムシなどが見れます。
見晴らし台に続く道です。これくらいの起伏は結構あります。
公園内を少し歩くたびに広場のような場所があります。
見晴らし台の広場です。
見晴らし台に設置されていた看板によれば、この場所から、シーサイドタウンやベイサイドマリーナ、金沢の海が一望でき、天気が良い日にはつばさ橋、木更津市、君津市、富津市などの房総半島の山々を眺めることができるとのことです。
ここから見える金沢の工場群は、埋め立てによってできたものですが、埋め立て前は見晴らし台の眼下には海岸線が広がっていたそうです。
天気が良くなかったのですが、思ったより遠くが見渡せました。マンション群になっている場所は、埋め立てによってできました。
拡大してみると、いくつもの船が浮かんでいるのが見えます。
テニスコート、多目的運動広場の前にあるのがトチノキ並木です。トチノキは日本各地に分布しています。この公園は自然が多いので紅葉を見るのにも向いてます。
あじさい坂と呼ばれる坂です。確かに両脇にあじさいがあります。
横浜海軍航空隊と浜空神社
公園がある場所には、以前は横浜海軍航空隊、通称浜空の基地がありました。
桜の名所となったのは木が隊員によって植えられたのが始まりともいわれており、4月になると浜空慰霊祭が行われます。
公園の向かいは現在機動隊や団地として使われてますが、当時は兵舎や格納庫があったといわれています。
「元横濱海軍航空隊隊門」横浜海軍航空隊があった時代の門がそのまま残っています。
「浜空の碑」です。ソロモン群島のツラギで玉砕した隊員の冥福を祈って建てられました。
浜空神社の由来です。
『昭和十一年十月一日飛行艇隊の主力として横浜海軍航空隊が当地に開設された。その守護神として造営されたのがこの浜空神社である
昭和二十年八月十五日 大東亜戦争終結後当航空隊跡地は横浜市富岡総合公園として生まれ変わったのである
浜空会では特に願い出て戦没者の鎮魂と恒久平和を祈念して浜空神社の修復復興をはかり全海軍飛行艇隊の戦没者殉職者約二千柱の御霊を合祀した
横浜航空隊は浜空神社を中心とした広大な陸上の敷地と現在埋立てられた根岸湾に水上の飛行艇発着場を専有していた 隊員約1千名大型飛行艇二十四機を有する海軍最大の飛行艇専門航空隊としてその威容を誇ったものである
今なお隊門付近の桜並木と飛行艇大格納庫が当時を偲ふ面影を残し訪れる者に静かに語りかけてくれる
時局の推移に伴い横浜航空隊から新たに東港航空隊が分立した
十六年十二月八日大東亜戦争勃発するやこの両隊は直ちに第一線に出動した、引続き第十四航空隊対潜専門部隊輸送教育等各精鋭飛行艇隊が横浜空を母隊として誕生し第一線に又後方に配備されその強大な航続力を発揮して洋上大遠距離の哨戒攻撃輸送救出作戦等を展開しハワイ印度アリューシャン豪州ソロモンにわたる広大な戦域を駆け巡って勇戦奮闘した
作戦上部隊名を八〇一空(横浜)八五一空(東港)八〇二空(十四空)九〇一空(対潜)等に変更し戦争終期には兵力集中の為詫間航空隊に全飛行艇隊を集結して沖縄攻防戦に死闘を演じ満身創痍全力を尽し果たして戦の幕を閉じたのである
中でも横浜航空隊はソロモン最前線のツラギに進攻作戦中強力な敵の反撃をうけて十七年八月宮崎司令以下三三八名が壮烈な玉砕を遂げたのである
富岡のこの地はかくの如き誇りある海軍飛行艇部隊発祥の歴史をもっているのである
この事実を永く後世に語り継がんが為ここに記念碑を建立する次第である
昭和六十三年一月 海軍飛行艇会 建之』
「題 濱空」有名な草鹿任一の名前があります。
小さいですが梅林もあります。
平成5年10月18日に区制45周年を記念して、花はボタンが、金沢区の木には山桜が制定されました。
梅林の近くにはボタン園があります。
園内はたくさんのもみじがあるので、紅葉も楽しめます。葉が大きめで切れ込みが浅いのが楓、葉が小さめで切れ込みが深いのが紅葉です。
富岡総合公園で楽しめる四季折々の花
春 やまざくら、ソメイヨシノ、ボタン、ツツジ、タチツボスミレ
夏 あじさい、ききょう、ヤマモモ
秋 プラタナスの黄葉、モミジ、イチョウ、ホトトギス
冬 ウメ、サザンカ、ヤドリギ
富岡総合公園へのアクセス
所在地 | 神奈川県横浜市金沢区富岡東2-9 |
電車 | 金沢シーサイドライン「南部市場駅」徒歩5分、または京浜急行線「京急富岡駅」から磯子駅行きのバスに乗り「鳥見塚」で下車 |
駐車場・駐輪場 | 駐車場あり(24台)、駐輪場あり(5台くらい) |
国道16号線側の鳥見塚交差点の近く
駐車場と駐輪場が敷地内にあります。
公園の中央まで進んで行くと有料の駐車場と無料の駐輪場があります。どちらも小さいです。
富岡総合公園有料駐車場の駐車場は30分で100円です。年中無休の24時間営業です。
まとめ
・富岡総合公園の場所は、かつて横浜海軍航空隊の基地があった。
・展望台、見晴らし台からは、海やみなとみらいが見え、きれいな夜景も見える(らしい)。
・公園は桜の名所として知られ、鳥見塚バス停からケヤキ広場にかけて桜並木が続いている。
・桜、梅、あじさい、紅葉、ボタンの他、様々な生き物がいる。
・小さい駐車場がある。