日本は2024年10月時点で、総人口に占める65歳以上の割合(高齢化率)が29.3%に達しています。
国民の約3.4人に1人が65歳以上という状況で、これは世界でも最も高い水準です。
少子高齢化は社会保障や経済全体に影響を与えますが、特に不動産市場には大きな構造変化をもたらします。
住まいを購入する世代の減少、シニア層のニーズの変化、空き家の増加、エリアごとの需要の二極化など、住まいを取り巻く環境は変わりつつあります。
この記事では、最新の人口動態データを踏まえた不動産市場への影響と、これからの住まい選びで知っておきたいポイントを解説します。
この記事で分かること
- 日本の人口動態の最新データ(2026年4月時点で確認できるもの)
- 高齢化が不動産市場に与える主な影響
- 神奈川県・横浜市の人口動態と地域の現状
- マンション管理組合の高齢化という新たな課題
- 高齢化時代の住まい選びで考えたいこと
日本の人口動態|最新データで見る現状

内閣府の「高齢社会白書」と国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口(令和5年推計)」によると、日本の人口動態は以下のような状況になっています。
現状(2024年10月時点)
- 総人口:約1億2,400万人
- 65歳以上人口:約3,624万人
- 高齢化率:29.3%(国民の約3.4人に1人が65歳以上)
- 75歳以上人口:総人口の約16%
将来推計(出生中位・死亡中位推計)
| 時期 | 総人口 | 高齢化率 |
| 2030年頃 | 約1億2,000万人を下回る | 約31% |
| 2037年(令和19年) | — | 33.3%(3人に1人が65歳以上) |
| 2056年(令和38年) | 1億人を割り込む | 約36% |
| 2070年(令和52年) | 約8,700万人 | 38.7%(2.6人に1人が65歳以上) |
総人口は長期の減少局面に入っており、2070年には現在より約3,700万人減少する見込みです。
これは、現在の東京都・神奈川県・千葉県の人口の合計を上回る規模です。
少子高齢化は欧米諸国でも進んでいますが、フランス・スウェーデンなどでは出生率の改善傾向もみられます。
日本はこれらの国と比べても少子化と高齢化が同時に急速に進んでいる点に特徴があります。
中国でも一人っ子政策の影響により、今後同様の課題が顕在化すると指摘されています。
神奈川県・横浜市の人口動態

ここからは、神奈川県・横浜市の現状にも触れていきます。
神奈川県の高齢化(令和6年版高齢社会白書より)
- 2023年(令和5年)時点の高齢化率:25.9%
- 2050年(令和32年)の推計高齢化率:35.0%(9.1ポイント上昇)
東京都(2023年:22.8%、2050年推計:29.6%)と比べると、神奈川県は高齢化のペースがやや早く進む見込みです。
横浜市の特徴
横浜市は人口約377万人(2024年時点)を抱える政令指定都市で、市内でもエリアによって高齢化の進み方は大きく異なります。
- 早期に開発されたニュータウン(港北ニュータウン以前の団地・住宅地など):住民の高齢化が進行
- 再開発エリア(みなとみらい・横浜駅周辺など):比較的若い世代も多い
- 郊外の戸建住宅地:子育て世代が流出した後、高齢世代が中心に
同じ市内でも、エリアごとに人口構造が異なる「都市内格差」が生まれているのが特徴です。
高齢化が不動産市場に与える5つの影響

高齢化と人口減少は、不動産市場にどのような影響を与えているのでしょうか。
主な変化を5つに整理します。
① 住宅購入層の縮小と需要の質的変化
住宅を新規購入する中心世代は30〜40代ですが、この世代の人口は今後も減少していく見込みです。
一方で、シニア層の住み替え需要(駅近・バリアフリー・コンパクトマンションへの移行)は増加しています。
需要は減るが「求められる質」が変わるというのが、住宅市場の現状です。
② 空き家の増加とエリアの二極化
総務省「住宅・土地統計調査」によれば、日本の空き家率は上昇傾向にあります。
とくに地方や郊外で空き家が目立ちますが、首都圏でも一部エリアで空き家問題が顕在化しています。
不動産市場では人気エリアと需要の弱いエリアの差(二極化)が広がっているのが特徴です。
これは横浜市内でも見られる現象で、駅徒歩5分以内のマンションと、バス便のみの郊外戸建では、流通市場での評価が大きく異なっています。
③ シニア向け住宅市場の成長
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)、有料老人ホーム、シニア向け分譲マンションなど、シニア層を対象とした住まいの需要は拡大しています。
国土交通省の登録情報によると、サ高住の登録戸数は年々増加しており、地域包括ケアシステムの推進と合わせて、住まい×介護×医療の連携が進みつつあります。
④ 高齢者の賃貸入居の課題
賃貸市場では、高齢者の入居が難しいケースが課題となっています。
理由は、
- 連帯保証人の確保が難しい
- 健康面・孤独死リスクへの大家側の懸念
- 収入(年金のみ)が限られる
などです。
これに対して、国土交通省は「住宅セーフティネット制度」を整備しており、高齢者・低所得者・障害者等の入居を拒まない物件(セーフティネット住宅)の登録が進んでいます。
また、家賃債務保証会社の高齢者対応の拡充や、見守りサービス付き賃貸など、市場側の対応も進みつつあります。
⑤ リフォーム・リノベーション市場の拡大
新築住宅の着工数が減少傾向にある中で、既存住宅のリフォーム・リノベーション市場は拡大しています。
中古マンションを購入してリノベーションするスタイルや、古い戸建を二世帯住宅に改修する事例も増えています。横浜市内でも、団地のリノベ事例が注目されています。
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マンション管理組合の高齢化という新たな課題

マンション管理士の視点から見ると、もう一つ重要な課題があります。それが「マンション管理組合の高齢化」です。
二つの老い
国土交通省も指摘する「マンションの二つの老い」があります。
- 建物の老朽化:築年数が経過するにつれて、修繕費が増加
- 居住者の高齢化:理事のなり手不足、合意形成の難しさ
築年数が経ったマンションでは、入居当初に住み始めた方々が同時に高齢化していることが多くあります。
これにより、
- 大規模修繕の合意形成が難しくなる
- 管理組合の理事の引き受け手が見つからない
- 修繕積立金の値上げ提案に反対が出やすい
- 認知症等で議決権の行使が難しくなるケース
といった現象が問題になっています。
修繕積立金の不足問題
国土交通省「マンション総合調査」によれば、修繕積立金が長期修繕計画に対して不足しているマンションは少なくありません。
築年数が経過するにつれて修繕費は増加する一方で、高齢化した管理組合では値上げの合意形成が難しくなる、という構造的な課題があります。
中古マンションの購入を検討される際は、管理組合の運営状態・修繕積立金の積立残高・長期修繕計画を確認されることをおすすめします。
マンションでは、建物だけでなく管理も買うもの、という意識が大切です。
高齢化時代の住まい選びで考えたいこと
人口減少・高齢化が進む中で、住まい選びの考え方も変わりつつあります。
マイホーム検討中の場合、すでに住まいをお持ちの場合、それぞれに考えるべき論点があります。
マイホーム検討中の方が意識したい点
- 流通価値:数十年後に売却・賃貸に出すことになった場合、需要のあるエリアか
- バリアフリー対応:将来の高齢期を見据えた間取り・設備の選択
- マンションの管理状態:管理組合の運営・修繕積立金の積立状況
- エリアの将来性:再開発計画・公共交通の維持・医療機関アクセス
- 家計とのバランス:住宅ローンの返済期間と老後資金準備の両立
すでに住まいをお持ちの方が意識したい点
- 住み替えの選択肢:子どもの独立後のダウンサイジング・駅近への移行
- リフォームの計画:バリアフリー・断熱・水回りの計画的な更新
- 資産としての住まい:売却・賃貸に出す・リバースモーゲージ等の選択肢
- マンションの場合:管理組合への関与・大規模修繕の備え
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まとめ
日本の高齢化と人口減少は、不動産市場にも構造的な変化をもたらしています。
主な5つの影響
| 観点 | 主な変化 |
| 購入層 | 30〜40代の購入層が減少、シニア層の住み替え需要が増加 |
| 立地 | 人気エリアと需要の弱いエリアの二極化が進行 |
| 商品 | サ高住・有料老人ホーム・シニア向けマンションの拡大 |
| 賃貸 | 高齢者の入居支援(住宅セーフティネット)の整備 |
| リフォーム | 中古活用・リノベーション市場の拡大 |
加えて、マンション管理士の視点では「建物の老朽化」と「居住者の高齢化」という二つの老いへの対応が、今後10〜20年の重要なテーマとなります。
人口減少・高齢化が進むからこそ、エリア選び・建物の管理状態の確認・ライフプランとのバランスといった、住まい選びが求められる時代になっています。
ご自身の暮らし方とライフプランに合った住まいを、長期的な視点で考えていかれることをおすすめします。
ご相談のご案内
株式会社ライフプランでは、横浜を拠点に、FP・宅建士・マンション管理士の複合的な視点から、住まいに関するご相談を承っています。
- マイホーム購入の判断とライフプラン
- 中古マンションの管理状態の確認サポート
- 住み替え・ダウンサイジングのご相談
- マンション管理組合の運営に関するご相談
免責事項
本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の不動産・金融商品の取引を推奨・勧誘するものではありません。
データ・制度は本記事執筆時点(2026年4月)のものです。最新情報は内閣府・国土交通省・国立社会保障・人口問題研究所等の公式サイトをご確認ください。
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