住宅ローンは短く借りるべき?長く借りるべき?返済期間の選び方を解説

ファイナンシャルプランナー

住宅ローンの毎月返済額は、借入額・金利・返済期間・返済方式の4つで決まります。

このうち金利は借りる側が自由に決めることはできませんが、借入額・返済期間・返済方式は借りる側が選択できます。

 

特に返済期間は、毎月の家計負担と総支払利息の両方に大きく影響します。

「短く借りるほど利息が少なくなる」のは正しいのですが、毎月の返済額が増えることで家計が苦しくなっては意味がありません。

 

この記事では、返済期間の違いによる返済額の比較と、ライフプランに合わせた返済期間の選び方を解説します。

この記事で分かること

  • 返済期間の違いによる毎月返済額・総支払利息の比較
  • 元利均等返済と元金均等返済の違い
  • 繰り上げ返済の効果的な使い方
  • 2024年改正後の住宅ローン控除の注意点
  • ライフプランに合わせた返済期間の選び方

 

返済期間の基本|最長は原則35年

住宅ローンの返済期間は、原則として最長35年です。

長期優良住宅の認定を受けた場合は50年まで対応している金融機関もありますが、一般的には35年が上限と考えておけばよいでしょう。

 

また、住宅ローン控除(後述)を利用するには、返済期間が10年以上であることが要件のひとつです。

10年未満の返済期間を設定すると控除が受けられないため、繰り上げ返済で残り期間が10年を下回らないよう注意が必要です。

 

返済方式は「元利均等返済」が主流

返済方式には2種類あります。

返済方式 特徴
元利均等返済 毎月の返済額が一定。返済計画が立てやすい。総支払利息はやや多め
元金均等返済 返済初期の負担が大きいが、総支払利息は少ない。収入が安定していれば有利

返済計画が立てやすく家計管理しやすい元利均等返済が、実際には多く選ばれています。

以下の比較表もすべて元利均等返済の試算です。

 

返済期間別・毎月返済額の比較

同じ借入額・同じ金利でも、返済期間が変わると毎月の返済額は大きく変わります。

たとえば借入額3,000万円・金利1%の場合、返済期間20年と35年では毎月の返済額に約53,000円の差があります。

一方で、返済期間が長いほど支払う利息の総額は増えます。

 

金利1%の場合

借入額 20年 25年 30年 35年
3,000万円 137,968円 113,061円 96,491円 84,685円
4,000万円 183,957円 150,748円 128,655円 112,914円
5,000万円 229,947円 188,436円 160,819円 141,142円

※元利均等返済・ボーナス返済なしの試算

 

金利2%の場合

借入額 20年 25年 30年 35年
3,000万円 151,765円 127,156円 110,885円 99,378円
4,000万円 202,353円 169,541円 147,847円 132,505円
5,000万円 252,941円 211,927円 184,809円 165,631円

※元利均等返済・ボーナス返済なしの試算

 

金利上昇局面での注意点

かつて「現在は過去最低水準の低金利」と言われた時代が続いていましたが、状況は変わっています。

 

2024年3月に日銀はマイナス金利を解除し、同年7月に利上げを決定しました。

2025年12月の金融政策決定会合では、政策金利が0.5%から0.75%へと引き上げられました。

2026年4月時点では、多くの金融機関の変動金利が1%を超える水準になっています。

 

変動金利で借りている方は、今後も金利動向を注視する必要があります。

返済期間を長く設定している場合は特に、金利上昇が総返済額に与える影響を定期的に試算しておくことが重要です。

 

繰り上げ返済の効果的な使い方

返済期間を最初から短く設定しなくても、繰り上げ返済を活用することで利息の負担を減らすことができます。

 

繰り上げ返済には2種類あります。

種類 内容
期間短縮型 返済期間を短くする。利息削減効果が大きい
返済額軽減型 毎月の返済額を減らす。家計の余裕を作りたい場合に有効

 

利息の削減効果が大きいのは期間短縮型です。

繰り上げ返済の効果は、残り返済期間が長いほど・金利が高いほど大きくなります。

 

返済期間は長めに設定してから繰り上げ返済が基本

子どもが小さい・これから教育費がかかる・将来の収入が不確かな時期は、まず返済期間を長めに設定して毎月の負担を抑え、余裕が出たときに繰り上げ返済するという方法が最もリスクが少ないです。

最初から短い期間で借りて毎月の返済が苦しくなるより、長い期間で余裕を持って返済しながら、余剰資金で繰り上げ返済する方が家計の安定につながります。

 

2024年改正後の住宅ローン控除

住宅ローンを借りる方の多くが利用する住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)は、2022年に大きく改正されました。

 

主な変更点

住宅ローン控除は、年末時点のローン残高の0.7%を最長13年間、税金から控除できます。(旧制度は控除率1%・控除期間10年)

 

2024年以降は、省エネ基準を満たさない新築住宅については住宅ローン控除の対象外となりました。

新築住宅を購入する場合は、省エネ基準への適合確認が必須です。

 

繰り上げ返済と控除の関係に注意

住宅ローン控除を受けるには、当初からの借入期間が10年以上であることが条件です。

繰り上げ返済で残り返済期間が当初の借入期間から10年未満になると、その後の控除が受けられなくなります。

繰り上げ返済のタイミングは、住宅ローン控除の適用期間(最長13年)が終わった後が基本的な目安です。

 

ライフプランに合わせた返済期間の選び方

社会保障

返済期間の最適解は、家族構成・収入・将来の支出予定によって異なります。

 

返済期間を短めに設定できるケース

  • 子どもがいない・教育費の負担が少ない
  • 共働きで収入が安定している
  • 手元資金に余裕がある

 

返済期間を長めに設定した方が良いケース

  • 子どもが小さく、これから教育費がかかる
  • 収入が今後変動する可能性がある
  • 住宅ローン以外にも大きな支出の予定がある

 

どちらの場合も、住宅ローンの返済だけでなく、教育費・老後資金も含めた家計全体のキャッシュフローで判断することが重要です。

住宅ローンの審査で出る「借入可能額」と、家計全体で見た「無理なく返せる額」は異なります。

 

まとめ

  • 返済期間が短いほど毎月返済額は増えるが、総支払利息は減る
  • 返済期間が長いほど毎月負担は軽いが、総支払利息は増える
  • 金利上昇局面では、変動金利の今後の動向に注意が必要
  • 繰り上げ返済(期間短縮型)を組み合わせることで利息を削減できる
  • 住宅ローン控除は2022年改正で控除率0.7%・最長13年に変更
  • 2024年以降の新築は省エネ基準適合が控除の条件
  • 返済期間は住宅ローンだけでなく、ライフプラン全体で判断する

 

繰り上げ返済は「借入金利と同じ利回りの金融商品を、非課税・元本保証で購入する」のと完全に同じ効果があります。金利が低いうちはあえて繰り上げ返済をしないという選択肢を取る人も多いです。

  • 流動資金が手元からなくなる
  • インフレは借金を目減りさせる

 

返済期間の設定はライフプランによってオーダーメイドが必要です。「いくら借りられるか」ではなく「いくらなら無理なく返せるか」を軸に、教育費・老後資金も含めて総合的に判断することをおすすめします。

 

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