現在、ローンを利用せず現金で不動産を購入する人はほとんどいません。
マイホームの売買では、住宅ローンを利用して購入するのが普通です。
同じ金額を借りても金利が違えば月々の返済額に違いが出ます。
毎月数千円の違いでも、住宅ローンの利用期間は何十年に及ぶため、積もり積もって何十万、何百万円という金額になります。
金融機関の前を通るとポスターに金利が書かれてるのを見かけますが、全ての人がその金利になるとは限りません。
ローンを利用する人が最初に知っておくといいのが「店頭金利」と「実質金利」の違いです。
店頭金利とは
店頭金利は、基準金利とも呼ばれる金利で、金融機関の基準となる金利です。
金融機関の店頭のポスターに表示されているのをご覧になったことがあると思いますが、これが店頭金利といわれるものです。
店頭金利は、変動金利型・固定金利型・固定期間選択型、といった金利のタイプによっても違います。
変動金利型、固定金利型、固定期間選択型は、代表的な3つの金利として知られていますが、利用者が多いのは変動金利です。
同じ借入金額かつ同じ時期であれば、変動金利型が最も低金利で、次いで固定期間選択型、そして一番高い金利が固定金利型になります。
2015年11月現在、代表的な金融機関の店頭金利は、2.475%となっています。
この2.475%という店頭金利は長く変わっておりません。
私が不動産業界に飛び込んだ時は2.375%だったので、ほとんど同じですね。
実質金利とは
ここまで店頭金利についてお話ししましたが、住宅ローンを利用している人のほとんどは店頭金利で借りているわけではありません。
金融機関は、顧客に借り入れをしてもらうのが仕事ですから、お得感を出すために店頭金利から一定の金利を控除すると提案します。
この控除される金利が優遇金利とか優遇幅といわれるものです。
実際に適用されるのは、店頭金利から個人ごとの優遇幅を控除した残りの実質金利となります。
例えば、店頭で「2.475% → 0.625%」というように二つの金利が記載されているのをご覧になったことはないでしょうか?
この場合は、2.475%が店頭金利で、0.625%が実質金利となります。この場合の優遇幅は1.85%となりますね。
優遇幅は住宅ローン利用者の属性や頭金の割合で異なることがありますが、金融機関同士の対立の激化によって年々拡大しています。
10年前の優遇幅は0.9%(1.475%)とかでしたが、現在(2015年11月)は1.85%にまで優遇幅が拡大しています。
店頭金利が2.475%で、優遇幅が1.8%であれば、実質金利は0.675%になるということです。
店頭金利2.475%-優遇幅1.8%=実質金利0.675%
35年の返済期間で5,000万円の借り入れをした場合の月々の返済額
2.475% 178,100円
1.475% 152,481円
0.675% 133,702円
同じ金額を借りても金利が違うと毎月の返済額にこんなに差が出ます。
10年前の実質金利と比べても、その差は18,779円もありますから、消費者に有利な時代です。
ネット銀行の中には、店頭金利は高いですが、実質金利で見ると低いところがあります。
優遇幅2%を超えているネット銀行もあります。ただ、初めて利用する人にとっては利用が難しい面もあります。
金利が適用される時期は?
実際に適用される金利は、契約した時の金利なのか、お金を借りた時の金利なのか……。
契約した時と融資を受けるときとで金利が違うことはありえます。
契約した時は2.475%だったのに、融資を受けたときは2.375%だったというような場合です。
この場合は、原則として融資実行時の金利が適用されます。
上の例でいえば、融資実行時の2.375%の金利が適用されるということです。
フラット35は頭金によって金利が異なることがある
フラット35は、全期間金利が変わらない住宅ローンです。優遇金利はありません。
フラット35は頭金を1割以上用意するかどうかで適用される金利が違います。
購入物件に対して、どれだけローンの借り入れをしているかの割合を融資率といいます。
頭金を1割用意するということは、融資率は9割ということです。
また、フラット35には買取型と保証型があって、現在は買取型が主流となっています。
保証型の場合は、融資率が8割以下・8割超9割以下・9割超で金利が違います。
2019年7月において保証型を取り扱っているのは6機関です。
・日本住宅ローン
・アルヒ
・財形住宅金融
・広島銀行
・クレディセゾン
・住信SBIネット銀行
また、返済期間が20年以内か21年以上かでも適用される金利が下がります。
まとめ
・金利には店頭金利と実質金利があるが、実際に適用されるのが実質金利。
・店頭金利から優遇幅を控除したものが実質金利となる。
・ローンは、契約時の金利ではなく、融資実行時の金利が適用される。
・フラット35では、融資率によって適用される金利が違うことがある。
変動金利型・固定金利型・固定期間選択型については別にまとめてあります。
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