私は現在、不動産協会とFP団体の2つで会員になっていますが、どちらの会でも定期的に実務に沿った勉強会が行われます。
勉強会には積極的に参加していますが、どちらの会でも最近は相続対策に関するものが増えています。
日本は超少子高齢社会であり、仕事で避けて通れない課題なので、会員の興味も高く要望も多いようです。
先日も別の勉強会に行き、節税対策、納税対策、遺産分割対策の相続対策についての話を聞きましたが、最近ではこの3つの相続対策にプラスして「認知症対策」が加えられると相続専門の弁護士が言ってました。
「うちは相続税がかかるほど財産がないから大丈夫」といった理由で多くの人が相続対策をしません。
ところが相続税がかかる相続よりも、相続税がかからない相続の方が、家族同士で争いにまで発展することが多いというデータがあります。
とはいえ相続対策にも様々なものがあって、話を聞くとどれも一長一短です。
例えば、不動産は節税対策で大きな効果を発揮しますが、流動性が悪いことからスムーズな相続の足枷になるといったようにです。
平成25年に日本の高齢率が25%を突破したので、現在の日本は4人に1人以上が老人です。
このことから不動産業界でも「空き家」「相続」の相談に対応するため、業界全体で力を入れています。
先日も葬儀会社の社長さんと葬儀に関する話をしました。
葬式費用の平均額はいくら?
財団法人日本消費者協会によれば、葬式に係る平均的な費用は200万円程度かかります。
生命保険の営業さんは、田舎だと大きな葬式になりやすいので平均よりかかると言って高めの生命保険を勧めてくることもあります。
ちなみに私の祖母が亡くなったときは、地方だったので葬儀費用の平均よりも多くかかりました。
田舎だと本当は葬式に費用をかけたくなくても、親族の手前そう簡単にいかないことも多いようです。
葬儀会社の社長さんによれば、葬儀費用は葬式の規模によってかなり差が出ます。
葬儀費用がいくらかかるのかは、誰に依頼するかによっても差が出ます。
同じ規模・内容でも依頼先によって差があるのは珍しくないようです。
ちなみに健康保険から埋葬料の名目で5万円を上限に実費支給されます(全然足りない)。
国民健康保険や後期高齢者医療保険等でも似たような制度があります。
相続対策になる生命保険
生命保険会社の営業であれば、相続対策に死亡保険を勧めてきます。
一方で証券会社出身のファイナンシャルプランナー(FP)には、予定利率が低いから生命保険は使わない方がいいという人もいます。
葬儀費用を捻出する手段として生命保険金が使われることが多いですが、相続対策の一つとして生命保険が利用されることは昔からありました。
現在の生命保険は、利率がよくないので保険料が高い印象を受けます。
しかし、それでも生命保険を使うメリットはあります。
相続人が死亡保険金を受け取る場合「500万円×法定相続人数」が非課税となるからです。
多額の相続税がかかる場合は、死亡保険金の受取人を相続人にしておけば、相続税の納税資金対策にもなります。
このような理由から、相続の納税対策に生命保険が利用されています。
生命保険は受取人固有の財産
相続対策に生命保険を利用するメリットとして、生命保険には法定相続人×500万円という非課税枠があるといいましたが、もう一つ忘れてならないのが保険金が「受取人固有の財産」という点です。
相続人が複数いれば相続財産はみんなの財産になりますが、死亡保険金は受取人固有の財産なので相続財産から除かれます。
過去の最高裁の判例でも、生命保険は受取人固有の財産として扱われており、保険金が相続財産として分割の対象から外れるので、納税対策として有効です。
判例では受取人固有の財産とされているので、遺留分減殺請求権の対象から外れる生命保険は活用しやすいです。
上手く生命保険を使うことで、相続税の納税資金の確保に向けた対策は可能です。
今回のまとめ
・葬儀費用の平均は200万円程度だが、減少傾向にある。
・葬儀費用の捻出に生命保険が利用されることが多い。
・生命保険には税金の基礎控除がある。
・生命保険は受取人固有の財産として扱われる。
相続対策では、生命保険と遺言を使うのは当たり前といわれています。
また、生命保険の保険料を支払った場合は、少ないですが所得税の控除を受けることができます。
生命保険は節税対策には向きませんが、納税対策におすすめです。
節税対策に向いてるのはどちらかというと不動産です。
- 相続対策→もめない相続(遺言・生前贈与・エンディングノート・話し合い)
- 節税対策→不動産
- 納税対策→現金化・生命保険
- 遺産分割対策→不動産の現金化・共有名義を避ける・家族信託