建物状況調査(インスペクション)とは? 中古住宅の検査と住宅ローン減税まで解説

不動産

中古住宅は「見えない不具合が心配」という理由で、購入をためらう人が少なくありません。

その不安を軽くする仕組みが、建物状況調査(インスペクション)です。

2016年の宅地建物取引業法改正で導入され、2018年4月から実施されています。

「建物状況調査」より「インスペクション」の呼び方が知られているので、この記事ではインスペクションで通します。

 

この記事から分かること

  • インスペクション(建物状況調査)の内容と検査範囲
  • 不動産会社によるあっせんの3つのタイミング
  • 売主・買主それぞれのメリットと問題点
  • 2026年最新の住宅ローン減税と中古住宅の関係

 

建物状況調査(インスペクション)とは|専門家による中古住宅の検査

インスペクションというのは、中古住宅を対象にした検査のことをいい、調査に関する一定の講習を修了した建築士によって建物の調査が行われます。

中古の住宅だと不具合が心配ですが、建築士といった専門家が検査をすることで、住宅の不具合を一定程度知ることができます。

 

検査する部分

  • 「インスペクションでは、建物のどこを検査するのでしょう?」
  • 「「構造耐力上の主要部分」と「雨水の侵入を防止する部分」が対象になります。」

 

検査の方法

  • 「では、どんな検査が行われるのでしょう?」
  • 「インスペクションでは、レーザーで建物の傾きを見たり、建物の箇所を目視で検査したりする非破壊検査で行います。」

 

あくまでも非破壊検査なのでどうしても限界はありますが、全くの不安のまま購入するよりは安心です。

より建物の状態を知るには、外壁を壊して壁の中を見たり、床をはがしたりすることが必要ですが、このように建物を壊して検査を行うことは行いません。それに破壊検査だと費用がかかります。

そのかわり、検査が一定の基準に適合すれば、瑕疵保険の対象になります。

瑕疵保険を利用した場合に発行される既存住宅瑕疵補償保険付保証明書は、住宅ローン減税の書類として利用できます。

 

なぜインスペクションが導入されたのか

今までの日本の不動産市場では、ほとんどが新築物件の取引でした。

国土交通省の住生活基本計画によると、中古住宅の取引は不動産の取引全体の6分の1と低い割合で推移しており、欧米と比べてかなり低いといわれてました。

 

既に超高齢社会を迎え、これからますます人口が減少していく日本では家余りが加速していくことが懸念されています。

また、一戸建ての建物は20数年経つと担保の評価がほとんど出ませんので、これも問題視されていました。

 

これらの理由から、国としては中古市場を活性化させたいと考えており、活性化させるための制度がインスペクションです。

 

確かに、買い手の「瑕疵(隠れた不具合)に対する不安」は、中古住宅の取引が少ない理由に挙げられてます。

一番高いといわれる不動産で、品質が不明なのは大きなリスクといえます。

 

不動産会社によるあっせんの3つのタイミング

インスペクションの導入により、不動産会社は取引の3つの場面で、インスペクションのあっせん(紹介)を行います。

 

媒介契約

まず、売主であれば売却を依頼する際、買主であれば購入を希望する際に、売主・買主それぞれにインスペクションの概要が不動産会社から説明されます。

お客様がインスペクションを希望した場合は、インスペクション業者を紹介します。

ちなみに費用の負担については決まってませんが、実施を希望した側が費用を負担するのが一般的です。

 

重要事項説明

インスペクションを実施した場合は、重要事項説明で買主に結果が説明されます。

 

売買契約締結時

インスペクションを実施した場合は、売買契約締結時にインスペクションの結果が書面で交付されます。

雨漏りがあった場合は、「本物件は雨漏りの跡が存することを確認……」みたいに記載されます。

 

売主・買主それぞれのメリット

不動産売却

売主にとってのメリット

売主様にとってのインスペクション実施のメリットは、引き渡し後に起こるトラブルを軽減させることができる点です。

また、事前にインスペクションを実施しておくことで他の中古住宅との差別化ができ、取引の安心につながります。

インスペクション実施済み物件、住宅ローン減税対象物件として、他の物件よりも早期売却も可能です。

 

買主にとってのメリット

買主のインスペクション実施物件のメリットは、目視とはいえ事前に検査するので、建物の不具合について把握できる安心があります。

建物の状況が分かれば、リフォームの費用があらかじめ把握しやすくなります。

かし保証を利用して付保証明書があれば、築年数が経過していても税制の優遇制度が利用できます。

 

インスペクションの問題点

中古市場の活性化のために有効な手となりそうなインスペクションですが、インスペクションにもいくつかの問題点があります。

 

まず、インスペクションを実施して不具合が出た場合です。

建物が古くなれば不具合が出る可能性は高くなりますが、インスペクションを実施した場合に半数以上が何らかの不具合が出るといわれています。

不具合が出た場合は、当然ですが建物の評価にも影響は出ます。

 

インスペクションを実施するには、数万円~十数万円の費用がかかります。

この費用負担について売主と買主のどちらが負担するかの問題があります。

インスペクションでは、どちらが負担するかは決められてませんので、現状はインスペクションを実施する人が負担することが一般的です。

円満な取引のために売主と買主の両者で折半というケースもあります。

 

売主がインスペクションを拒否する理由として、検査の結果修理が必要と分かった時のショックを思って拒否する人もいます。

 

住宅ローン減税と中古住宅(2026年最新)

インスペクションと関わりが深いのが、住宅ローン減税です。

ただし、この制度は改正が多く、2026年に大きく変わりました。まず基本をまとめました。

 

住宅ローン減税の基本(2026年時点)

  • 年末のローン残高の0.7%を所得税(一部住民税)から控除
  • 控除期間は最大13年(省エネ性能を満たす中古住宅も13年に拡充)
  • 適用は令和8年(2026年)1月〜令和12年(2030年)12月入居まで
  • 省エネ性能を満たさない住宅は控除額・期間が縮小

 

築年数の要件は廃止

かつては「木造は築20年、マンションは築25年まで」という築年数要件があり、瑕疵保険付保証明書がその回避策として使われていました。

現在この築年数要件は廃止され、代わりに「1982年(昭和57年)以降に建築された住宅、または現行の耐震基準に適合していること」が要件になっています。

 

このように要件が変わったため、古い情報のまま「築20年を超えたら減税は使えない」と判断するのは誤りです。

中古住宅の購入で減税を検討する際は、築年数だけでなく、耐震基準への適合や省エネ性能を確認することが重要です。

インスペクションや既存住宅売買瑕疵保険は、建物の安心を高めるとともに、こうした要件の確認や証明にも役立ちます。

制度は毎年のように改正されるため、実際の適用は必ず最新の公式情報で確認してください。

 

終わり

かつて中古住宅は、瑕疵(見えない不具合)に対する不安から、買い手がなかなか踏み込めない面がありました。

中古市場が発達した欧米では、インスペクションは当たり前に行われています。

日本ではまだ発展途上の制度ですが、中古住宅の状態を「見える化」し、定期的なリフォームとあわせて活用すれば、資産価値の維持にもつながります。

中古住宅の購入を検討する際は、インスペクションという選択肢を知っておくと安心です。

 

 

本記事は2026年6月時点の制度・公表情報に基づく情報提供を目的としたものです。住宅ローン減税をはじめ税制は毎年改正される場合があり、適用要件の詳細は国土交通省・国税庁等の公式情報や専門家にご確認ください。

 

タイトルとURLをコピーしました