この度、民法の改正が120年振りに大改正されます。
民法改正については、平成29年に公布されてますが、民法のような国民すべてに影響する法律の改正なので直ぐに施行とはいかないようです。
先日、民法改正についてのセミナーを受講したのですが、そのときの弁護士さん曰く、施行は平成32年からだろうとのことでした。
賃貸借の存続期間の民法改正
賃貸借の存続期間についても見直されることになっています。
現在の民法では、賃貸借の存続期間は最長で20年を超えることが出来ないとされています。
しかし、民法改正後は、最長で50年を超えることが出来ないに変更されます。
50年の賃貸借期間を定めた場合であっても更新することができます。ただし、その場合も50年を超えることは出来ません。
ゴルフ場や太陽光発電の契約で20年では短いとのことで、今回の改正の運びとなったようです。
最長期間については、期間の制限がありますが、最短期間については民法では定めがありません。
借地と借家では借地借家法が適用される
借地や借家については「借地借家法」という法律があります。
借地借家法に規定がある場合は、そちらが民法よりも優先されます。
つまり、民法の賃貸借の存続期間が適用されるのは、建物の所有を目的としない土地の賃貸借と動産の賃貸借ということです。
借地借家法では、借地権は30年以上の契約期間とされています。
また、借家権については、1年未満の契約期間を定めると期間の定めのない契約になるだけで、民法よりも長い契約期間を定めることは可能とされています。
賃貸アパート等の普通賃貸借期間
上述したように部屋の賃貸借契約では、1年未満の期間を定めると期間の定めのない契約になってしまいます。
ですから多くの賃貸借契約では、契約期間を2年としています。
1年未満の契約で部屋を貸すのであれば、定期借家契約にすることで1年未満の契約も可能です。
契約期間が2年でも更新できる
期間を定めていれば契約期間の終了とともに終わりますが、普通の賃貸借契約では更新することができます。
契約金終了後、借りている人が使用することに大家さんが異議をとなえない場合は、前の条件と同じ条件で賃貸借したものとされます。
契約の更新にはいくつかありますが、一般的な賃貸借契約では賃借人から解約しなければ自動的に更新されます。
契約更新の際は、再び2年の火災保険に加入します。また、保証会社を2年で利用している場合は再度費用が発生します(1年毎もあります)。
契約で更新時に家賃1か月分を設定している場合は、1か月分の更新料必要です。
建物が火災で亡くなった場合の賃貸借契約は?
建物が火事や地震で全部なくなってしまった場合は、目的物自体がありませんから賃貸借契約は当然に終了します。
部屋を借りている人が、家賃を支払わなかったり、勝手にまた貸ししたり、善管注意義務違反した場合は、大家さんは債務不履行を理由に、賃貸契約を解除することが出来ます。
とはいっても、家賃の不払いの場合は、相当の期間を定めて催告しないとダメなので、1か月程度遅れた程度では契約解除は認められません。
賃貸人から解除できるかは信頼関係が破壊されたかどうかで見られることが多いので、普通に部屋を使用してる限り、それほど心配する必要はありません。
定期借地権
定期借地というのは、土地を借りられる期間があらかじめ決まっているというものです。
旧法借地権では、一度土地を借りると半永久的に土地を借りられる(貸主の更新拒絶はほぼ認められない)ため、これでは不便だろうとできたのが定期借地制度です。
定期借地であれば、都内の一等地も安い値段で利用できるため、最近になって需要が増え、定期借地を使ったマンション建設が数多く行われています。
「都内は借地多いですね。」
定期借家権
借地借家法では、賃借人保護が強いため、一度家を借りると貸主からの契約解除はほぼ不可能でした。
定期借家では、更新がなく、終了時には立退料も不要なので、賃貸人にとっても賃借人にとってもメリットがあります。
賃貸人にとっては、収支が計画的になり、退去時や立退料といった費用が掛からず、期限の経過とともに土地が返還されます。
賃借人にとっては、安い値段で建物を利用できることが多いです。
まとめ
・民法改正で賃貸借期間の上限が50年になる。施行は平成32年4月1日から。
・借地や借家の場合は、借地借家法という法律が優先される。
・建物所有でない土地と動産の賃貸借は、民法の賃貸借の存続期間が適用される。
・借地借家法が優先されるため、30年以上の期間となる。
・借地や借家の場合は、定期借地や定期借家という方法もある。