不動産は生活に欠かせないうえ、高額な物なので、様々な法律の規制を受けます。
自分が所有する物の処分や使用について、誰かにとやかく言われる筋合いはありません。
自分のものを何に使おうと本来は自由なはずです。
しかし、不動産の場合は使用について自由に認めてしまうわけにはいきません。
建物の賃貸には法律でルールを設けないと貸主の気分次第で借主が追い出されることが考えられますし、建物について制限しないと隣の人の日照がなくなることも起こりえます。
また、不動産は一般の人にとっては一生のうちにそう何度も取引を行うわけではありませんから、法律がなければ不動産取引でトラブルに巻き込まれる人は今より多いはずです。
一般法と特別法
法律では、「一般法」と「特別法」という概念があります。
一般法は、ある分野に広く適用される法律です。そして、この一般法に対して、効力が特定の事項に限って適用される法律を特別法といいます。
例えば、賃貸の基本的な契約ルールは民法に定められていますが、建物の賃貸については借地借家法という法律が特別法として優先されます。
建物の賃貸について、借地借家法に規定がなければ、一般法である民法が適用されることになります。
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民法は基本的なことが決められている
民法は、総則、物権、債権、親族、相続の5編から構成されていて、それぞれの分野に分かれています。
不動産では、どの分野も関りがある重要な法律です。
特に物権、債権、相続は不動産でもお馴染みの法律です。
宅地建物取引業法
宅地建物取引業法とは、「宅地建物取引業を営む者について免許制度を実施し、その事業に対し必要な規制を行うことにより、その業務の適正な運営と宅地及び建物の取引の公正とを確保するとともに、宅地建物取引業の健全な発達を促進し、もつて購入者等の利益の保護と宅地及び建物の流通の円滑化とを図ることを目的とする(第1条)」ために定められた法律です。
宅地建物取引業法ができる前は、不動産業者になるのに知識や経験が不要だったため、詐欺を行う業者が横行したといわれています。
この法律により、不動産仲介業者のルールが定められたことになります。
ちなみに宅地建物取引業者の免許がないもぐりの業者もいるので注意が必要です。
宅地建物取引業では、宅地建物取引業者の免許をすぐ分かる場所に設置しなければならないことになっていますので、もぐりの業者かどうかはすぐに分かります。
借地借家法
借地借家法は、土地や建物の貸し借りについてのルールを定めた法律です。
賃借人は、賃貸人に比べて立場が弱いので、賃借人を強く保護しています。
不動産の貸し借りについては、民法は一般法、借地借家法が特別法の関係になるので、民法よりも借地借家法を見た方が手っ取り早く調べられます。
不動産登記法
民法では、契約はお互いの合意による意思表示で成立するとされています。
また、不動産の所有権は登記をしなければ第三者に対抗できないということも民法に定められています。
このように第三者とのトラブルを回避するためには登記が必要になります。
不動産登記法は、登記記録や登記手続きといった不動産の登記について定めた法律です。
建築基準法
建物を建てる際、国民の生命・健康・財産の保護のため、建築物の敷地・設備・構造・用途についてその最低の基準を定めたのが建築基準法です。
不動産では、セットバックや耐火構造といった言葉がよく出てきますが、地震や火事などの災害があっても国民の生命が守られるようにルールが定められています。
土地だけ購入しても建物が建てられなければ、その土地は宅地と比べて著しく価値が低くなります。
建築基準法は、不動産の価値にも影響することがあるので、宅地においては重要な法律の一つです。
また、都市計画法は土地の利用について定めた法律なので、不動産の建築に際しては都市計画法と一緒に考えていく必要があります。
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建物の区分所有等に関する法律
建物の区分所有等に関する法律は、マンションなどの区分所有の権利関係に関する法律です。
マンションの共有部分や専有部分についてのルールが書いてあり、マンションに居住している人は一度目を通しておくとマンションの運営について分かるようになります。
マンションの建て替えについてや運営についても記載されているので、建物の区分所有等に関する法律は言わばマンションの憲法ともいえます。
マンションの管理規約は、建物の区分所有等に関する法律に則って作られています。
農地法
農業は、国の根幹といえるので、農地については他の法律よりも厳しい制限があります。
市街化調整区域では、農地の譲渡は困難だったり、使用について制限を受けたりと様々な制限を受けます。
農地を転用する場合は、許可や届出が必要です。
税法
不動産には、様々な税金が課せられます。
不動産の売買契約時には、印紙税が課税されます。
不動産を取得した場合は不動産取得税、登記した場合は登録免許税が、相続すれば相続税など実に様々な税金と関わります。
反対に住宅ローン減税や譲渡した場合の譲渡所得の特別控除といった控除を受けられる制度もあります。