日本では欧米と違って新築の許可が得やすいことから、人口減少を無視するかのように新築マンションが建設されています。
ところがマンション資材の高騰や職人不足等の影響から、数年前とは比較にならないほど新築マンションの価格が高騰しています。
現在の日本は人口減少社会なので、今後はマンションに対する需要が減少していくことが予想されますが、需要が減少することに伴ってマンション価格も下落するかもしれません。
これからマンションの購入を検討している人にとって、マンションの価格と維持費は重要な要素だと思います。
今回はマンション価格の面から新築マンションよりも中古マンションの方がおすすめな理由について触れたいと思います。
新築マンションを登記すると価値が8割になる?
新築マンションと中古マンションを比較した場合に、中古マンションのメリットは価格を抑えることができる点です。
新築マンションは、登記した時点で不動産の価値が8割になるといわれています。
ファイナンシャルプランナーの中には7割になるという人もいます。
このファイナンシャルプランナーは自分がマンション購入で失敗したため新築マンションを目の敵にしているのかもしれません。
「マンションを目の敵にしてる自称経済学者もいます」
新築マンションのメリットに仲介手数料がかからないことが挙げられますが、新築マンションではそれ以上に販売価格に利益を乗せているといわれています。
新築マンションは中古マンションと違って流通している数が限定されるため、適正な価格の把握がしにくく、一般の人が不動産屋に「そういうものですよ」と言われればそれまでです。
新築で探してる人にとっては供給数が限られてるので、あまり価格を気にしてる余裕はないというのもあるかもしれません。
仮に価値が8割になるというのであれば、フルローンで新築マンションを購入したときは、短期に売却しようと思ってもオーバーローン(不動産の価値より借金の方が多いこと)になっていることになります。
こういった面でも新築マンションの方がリスクが大きいかもしれません。
価値の下落はだんだん緩やかに
マンションの価値は時間の経過とともに下落していきますが、建物については戸建ても同じです。
しかも、均等に下落していくわけではなく、新しいほど下落率が大きくなるとよく言われます。
何より最も下落するのは、新築マンションを購入して登記した時点です。
その後、下落率は縮小していき、築後10年~15年程度で落ち着くといった傾向が見られます。
最近は、マンション価格が高騰しているため、むしろ中古市場の価格が上昇するといった現象もみられます。
ただ、これは東京オリンピックが影響している可能性もあります。しかし、建物は基本的に経年劣化していくものと考えられています。
不動産というのは同じものがないといった特徴があるので、人気のあるエリアはオリンピック後も上昇していくと思います。一方で郊外のマンションは人口減少と需要減少によって価格は下降していくと思われます。
修繕積立金は上昇していく
マンションの修繕積立金は、基本的には将来上昇して行くと思っておいた方がいいでしょう。
築10年以内のマンションが売りに出ているのを見ると、修繕積立金の低さに驚きます。
修繕積立金というのは、10年程度のスパンで行う大規模修繕に備えて所有者が積み立てておく金銭です。
この修繕積立金には、2つの方式があり、一つは段階増額積立方式、2つ目は均等積立法式と呼ばれています。
段階増額方式は、最初は修繕積立金の額を低くしておき、段階的に増額していく方式です。
もう一方の均等積立方式は、10年、30年といった修繕費用を事前に見積もっておき、その金額を均等にする方式です。
どちらも法律で認められた方式ですが、ほとんどのマンションでは段階増額積立方式が採用されています。
なので、将来的には修繕積立金は増額していくものと考えておいた方がいいでしょう。
段階増額積立方式を採用しているかの理由は、最初から修繕積立金が高いと新築マンションが売れにくくなるからです。
つまり、新築マンション販売会社による自己都合ということです。
長期修繕計画のガイドラインでは、将来の推定修繕工事費を修繕積立金の累計額が下回らないよう計画することが必要とされますが、高齢者が多いマンションではそれも難しいかもしれません。
中古マンションなら修繕積立金の滞納についても調べることができます。
老後のライフプランをシミュレーションした場合に、重い足かせとなるのがマンションの維持費です。
マンションに豪華な設備があると、管理費もそれに比例して高額になるので、その点も考慮してライフプランを考えておくのがいいと思います。
価値がゼロといわれても住めないわけではない
建物の価値について、投資用物件では減価償却が行われますが、減価償却が行われるとやがて建物の価値はゼロになります。
しかし、帳簿上の建物の価値がゼロになっても、住めないわけではありません。
きれいに使っていれば法定耐用年数を超えても十分住むことができます。
マンションは、築年数が30年も経過すれば市場価値としては3割に満たないかもしれません。
一戸建てに至っては、30年を経過した建物は価値がゼロとして評価され、土地又は建物有りの土地として販売されています。更地にしないのは固定資産税が高くならないためです。
また、建物が法定耐用年数を超えても課税台帳の価格は2割程度で維持されるといわれているので、整合性が取れるというか一致します。
マイホームの購入は、建物の償却費を自分で消費することと同じです。
これが投資不動産なら価値がなくなれば次の手を考えなければなりませんが、マイホームなら住み続けて問題ありません。
中古マンションのデメリット
中古マンションのメリットは、やはり中古であるためどこかに不具合が生じている可能性があることです。
現在は、ホームインスペクションが利用できますが、昔はありませんでした。
インスペクションが導入されることになった背景には、日本が欧米と比べて中古住宅の流通数が著しく低かったからです。
中古物件のデメリットは、水漏れや見えない部分のキズなどですが、インスペクションを利用することで事前にリフォームが必要な個所を少しは知ることができます。
ただ、インスペクションは費用がかかる(5万円程度)ので、その点は注意が必要です。また、検査は目視によって行われるので、詳細までは分かりません。
とはいえ、中古マンションを購入することで浮いたお金をリフォーム代に充てれば、新築マンションよりは安く済みます。
何より新築では限られた件数しかないマンションが、中古ならその何倍もあります。
新築マンションよりも中古マンションがおすすめな理由のまとめ
・新築マンションは購入した時点で価値が8割になると言われている
・建物が古くてもリフォームをすれば長くすみ続けられる
・マンション価格は築10年~15年の下落が激しい
・修繕積立金は将来増額していくのが分かる
・中古マンションなら修繕積立金の滞納が事前にわかる
・供給数が新築の何倍もある