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社会保障(公的制度)を知らないと無駄な保険に入ることになる

投稿日:2019年5月1日 更新日:

かつて日本人の9割は、いずれかの保険に加入しているといわれ、日本は世界一の保険大国と呼ばれてました。

今でも日本人の保険加入率は高いのですが、これは日本人の将来不安に対する表れではないでしょうか。

 

しかし、保険に加入した人に理由について尋ねると、実際は保険に加入しなくてもよかったのではと思うケースもよくあります。

保障が少ないと万一の時に遺族の生活を守れませんが、無駄な保険に加入してると保険料が過大となって資産形成に悪影響です。

保険に加入する理由

保険に加入する目的の上位理由には

「病気やけがをしたらいくらかかるか分からないから」

「老後に備えて」

「死亡した時に残された家族のために」

「病気やけがをして会社を休んだら収入がないから」

といったものがありますが、いずれも将来に対する不安の備えです。

 

全てのリスクを保険でカバーすると保険料が過大になってしまうので、優先すべきは稼ぎ頭である世帯主の死亡保障です。

次は夫婦の医療保障や教育資金です。今は利率が低いので、教育資金を保険で準備する必要性は低いです。

 

しかし、これらの不安のいくつかに対しては、社会保障で給付を受けられるものがあるということを知っておくとよいでしょう。

 

万一の時の社会保障

病気やけがをした場合に、1ヶ月間ずっと入院していれば治療費や入院代が30万、40万円に上ることも珍しくありません(体験談)。

こういった場合に受けられる社会保障として高額療養費制度があります。

 

また、老後になるとなかなか現役時代のように働けなくなります。

こういった場合には、社会保障から老齢基礎年金や老齢厚生年金といった年金が受け取れます。

 

一家の大黒柱が亡くなれば、残された遺族は生活していけるかといった問題に直面します。

残された遺族は、社会保障から遺族基礎年金や遺族厚生年金といった年金が受けられる場合があります。

遺族基礎年金は子供の教育費的な性格があるので、18歳未満の子がいないと対象になりません。

 

長く働いていると、病気やけがをして会社を休まなければならないこともあります。

仕事中の病気やケガであれば、労働者災害補償保険(労災)の対象になるかもしれませんが、プライベート中の病気やけがは労災の対象にはなりません。

もし、プライベート中に起きた原因で会社を休んだ場合は、ノーワーク・ノーペイの原則により給料が支払われないのが原則です。

そんな人が対象となる社会保障には、健康保険の傷病手当金があります。

 

限度額適用認定証

高額療養費の計算では、70歳未満の被保険者であれば、毎月の賃金に応じて分けられる標準報酬月額をもとに5段階に分けられます。

5段階ごとにそれぞれ自己負担限度額が違いますので、ここでは一つの例を取り上げて高額療養費制度がどんなものか説明します。

 

標準報酬月額が30万円の人が、1ヶ月の総医療費が100万円だった場合の医療費負担額はいくらになるか。

標準報酬月額が30万円の人の計算式は、以下の通りです。

80,100円+(総医療費-267,000円)×1%=87,430円

この人の場合は、健康保険が3割負担なので、100万円の3割の30万円を窓口で支払いますが、高額療養費の申請をすれば30万円-8万7430円の21万2570円が戻ってきます。

 

しかし、これだと後でお金が戻るとはいえ、最初に窓口で30万円の支払いが必要です。

医療費が高額になることが分かっているときは、限度額適用認定申請の手続きをしておけば、窓口での負担が自己負担限度額の8万7430円で済みます。

 

マイナ保険証を利用する場合は、事前の手続きなく高額療養費制度における自己負担限度額を超える支払いが免除されるとされてます。ただ、マイナ保険証はいろいろ問題が起きてるので注意が必要です。

 

保険に加入するのは社会保障で不足する分を明らかにしてから

本人の意思によって加入するかしないかを決める生命保険とは違い、社会保障は国民皆年金・国民皆保険を採っているので原則として強制加入です。

もし、将来の保障に不安があって生命保険や医療保険の検討を加入しているなら、社会保障を知ってから本当に自分に必要なのかを考えた方がいいでしょう。

 

保険の加入では、必要保障額を考えます。

まず最初に、何のために保険に加入するかを明らかにすることが大事です。

 

必要保障額とは、遺族が生活していくうえで必要な金額をいいます。

必要保障額の計算では、遺族の収入から遺族の支出を引いて求めます。

必要保障額=遺族の家計収入(遺族年金、配偶者の給与等)ー遺族の家計支出(遺族の生活費、子供の教育費等)

 

このように保険でカバーする必要性があるのは、遺族の生活で必要な金額から、遺族年金などの社会保障給付を除いた額です。

無駄な保険に加入している人の多くは、社会保障を考慮せずに保険屋さんの言いなりになっていることもあります。

 

住宅ローンを組んだら保険の見直し

ここまで見てきたように、保険に加入する際は必要保障額をもとにするのが基本です。

必要保障額をもとにして生命保険に加入していれば、住宅ローンを組む前は毎月の家賃分も必要保障額に含まれているはずです。

 

住宅ローンを組む際は、フラット35を除いて団体信用生命保険の加入が必須になっています。

団体信用生命保険というのは、住宅ローンを借りた人に万一があった場合に備えて加入する保険で、万一があった場合は保険金が金融機関に支払われます。

金融機関に保険金が支払われ、住宅ローンがなくなるため、遺族は借金を相続することなく不動産を相続することができるという仕組みです。

 

つまり、住宅ローンを組む時に団体信用生命保険に加入するため、住居分の必要保障がカバーされ、今まで家賃分が含まれていた必要保障額が過大になることになります。

過大となった必要保障額分を削減することで、月々の保険料が軽くなるわけです。

 

今回のまとめ

・社会保険は強制加入なので、保険の加入を検討するときは社会保険を優先する。

・保険に加入するときは、目的を明確にする。

・事前にその月の医療費が高額になりそうなら、限度額適用認定を申請しておく。

・保険は、社会保障の不足分を補うようにして加入する。

・住宅ローンを組んだら保険の見直しをする。

・社会保障は申請しないと受けられない。知らないと損するようになっている。

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