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サブリース契約ではサブリース業者が有利になっている

投稿日:2018年8月18日 更新日:

サブリース契約をめぐって、2011年にレオパレスが訴えられ、今年の5月にはスマートデイズが破産して社会問題化しました。

サブリースについては、過去に何度もトラブルが起きていますが、トラブル解消に向けた取り組が行われているといった話は聞きません。

利用する側もサブリース問題点について把握してるのか疑わしいケースも散見されます。

サブリース契約とは

サブリースというのは、サブリース業者が不動産物件を一括で借り上げ、業者は投資家に対して定額の家賃を支払うという仕組みです。

 

サブリース契約では、投資家が貸主となり、サブリース業者が借主になります。

普通の賃貸借と違うのは、サブリースの場合は借主がさらに転貸を行うという点です。

普通の賃貸であれば、投資家と入居者が賃貸借契約を結びますが、サブリースでは入居者と業者が転貸借契約を結びます。

投資物件の管理や募集もサブリース業者が行います。

 

サブリース契約が人気を集めたのは、一定の賃料保証と管理の手間がかからないという点です。

 

不動産投資を行う場合、投資を継続させ、成功するためには、家賃収入が重要になります。

空き家が多くなるにつれて家賃収入は減るので、空き家の期間が長かったり、空き家率が高い場合は、投資活動を続けていくことが困難になってしまいます。

そういった場合に、空き家のリスク回避を目的としてサブリース契約を結びます。

サブリース契約を結べば、家賃収入が本来の80%~90%になるかもしれませんが、空室があっても家賃収入を得ることができます。

 

この家賃保証が人気となり、サブリース契約は急拡大しました。

 

賃料額が保証されているわけではない

サブリース契約を結べば、家賃収入は満額の80%~90%と減ってしまいますが、リスクは回避できまることになります。

ただし、空室率が高かったり、家賃額が近隣建物と比較して高い場合は、家賃保証額が減額されることもあります。

 

借地借家法では、経済的事情の変動や近隣建物の家賃と比較して不相当の場合などは家賃の増減を請求できるようになっています。

たとえ契約途中であっても、家賃の保証額を見直されて減額されることがあります。また、契約中は家賃を減額できないと定めても、借地借家法によりサブリース業者は減額を請求できます。

 

先日見たニュースでもサブリース物件の所有者が出演していましたが、「サブリース契約を締結したときはホッとしたが、家賃減額通知がこうも頻繁に行われては業者に対して不信感と怒りしかない。」と発言していました。

こういった話は、テレビやニュースでたびたび取り上げられているので、ご存知の人も多いと思います。

 

借地借家法で保護の対象となるのは業者?

サブリース契約では、投資家が貸主となり、サブリース業者が借主となります。

不動産の賃貸借では、借地借家法という法律が適用されます。

そして、借地借家法では借主側が強く保護されていることは知っておいたほうがよいでしょう。

 

一度、不動産を貸すと貸主から契約を解除するのは大変で、正当事由が認められることは難しいです。

その結果できたのが定期借家法や定期借地法という期間限定の賃貸借契約です。

こういった法律ができるほど、借地借家法には欠陥があります。

 

30年一括借り上げ契約を締結してしまえば、30年は貸主からの解約は原則としてできないことになります。

そのくせ業者からの解約は比較的容易なので、業者からの請求に厳しいと場合によっては途中で解約されてしまうことがあります。

 

先日も、家賃保証額の引き下げに応じなかったため、サブリース契約を途中で解約された郊外のオーナーさんが出てましたが、悲惨そのものでした。

家賃減額をしたばかりなのに、サブリース業者の担当者が来て一方的に「家賃の減額に応じなかったので、解約になりますけどいいんですか。」などと言われたそうです。

 

サブリース契約の解約の難しさ

サブリース契約を投資家側から解約しようと思っても、現状では難しいと言わざるをえません。

反対にサブリース業者側からの解約はそれほど難しくないようにできています。

 

不動産の賃貸借では、借地借家法が適用されると言いましたが、この法律では正当事由がないと貸主からの解約が認められていません。

契約を解約する権利は、サブリース業者側にのみ認められることが多く、サブリース契約は基本的に業者が有利になっています。

 

正当事由にあたるのは、建物が古くなって価値がなくなった場合などですが、仮に建物が古くなったとしても、業者がそう簡単には応じるとは限りません。

業者が解約に応じる場合であっても、違約金が必要となるのがほとんどです。

賃料の6か月分といった違約金がかかることが多いため、解約できる場合であっても躊躇してしまう投資家が多かったりします。

 

維持費や修繕費は投資家が負担

サブリース契約では、投資物件の管理や募集についてはサブリース業者が行ってくれますが、原状回復費用や維持費、修繕費は投資家が負担します。

 

入居者が退去した後は、原状回復をしてから次の入居者を募集するのが一般的です。

また、共用部分の維持費もかかります。

さらには、建物は経年劣化していくため、資産価値の維持には長期的な修繕計画が必要です。

 

これらの費用は、決して安くはありませんが、賃貸経営では必要な費用です。

そして、これらの費用は投資家が負担することになります。

 

といっても収支が健全なら問題ありません。問題となってるのは健全でないからです。

 

今回のまとめ

・サブリース契約とは、投資物件を一括して業者が借り上げ、業者は投資家に賃料の80%~90%を支払うという仕組み

・契約期間の途中であっても家賃が減額されることがある

・サブリース契約は業者側が保護される業者有利の契約

・投資家から解約するのは難しい

・サブリース契約後も原状回復費や修繕費は投資家が負担することになる

  • この記事を書いた人

侍従川

横浜で不動産仲介業ファイナンシャルプランナーをしています。

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不動産だけでなく、ライフプランの相談にも対応してます。

担当:不動産、ライフスタイル、投資、雑用

追加:写真、資格、名所めぐり

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有酸素運動で脳を活性化させて予備試験に挑戦してます。

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