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フラット35を利用して投資物件を購入することは禁止されている

投稿日:2019年9月1日 更新日:

2019年8月30日のニュースを見ていたら、「フラット35 投資目的で悪用」というニュースがやってました。

そのニュースで、住宅金融支援機構のフラット35が投資目的で不正に利用されており、105件の不正と49件の不正疑惑があると発表してました。

今回発覚した不正利用は、東京都の不動産業者が関わったもののみだそうです。

住宅金融支援機構は、利用者に対してローン残金の一括返済を求めるとともに、不動産業者とローン利用者に対して法的措置を検討しているとのことです。

 

私も住宅ローンでマンションを買って転売したらどうかと相談を受けたことがあり、住宅ローンは投資目的では利用できないことになっていると回答したことがあります。

実際に住宅ローンを利用して不動産を購入し、賃貸に貸し出している人は多いと思います。

今回のことは氷山の一角に過ぎないと思っています。

フラット35は個人の住宅取得のためにある

フラット35は、住宅ローンの一つで、住宅金融支援機構が行っている長期固定金利の住宅ローンです。

フラット35に限らず、そもそも住宅ローンは個人の住宅を後押しするために低金利で貸し出されているので、個人が自分で住むための利用に限定されています。

 

個人が不動産の投資目的でローンを利用する場合は、事業ローンやアパートローンといったものがあり、本来であればこちらを利用しなければなりません。

住宅ローンと投資目的のローンとでは、一般的に住宅ローンの方が金利が低いため、住宅ローンの金利で借りれば借り手にとっては有利です。

しかし、住宅ローンを利用して賃貸住宅として貸し出せば、契約違反にあたります。

 

フラット35のホームページでも、投資目的でのローンの利用を禁止しており、「フラット35はお申込ご本人またはそのご親族の方がお住まいになる新築住宅の建設資金・購入資金、中古住宅の購入資金等にご利用いただけます。」と記載されています。

また、「第三者に賃貸する目的の物件などの投資用物件の取得資金に利用するなどの目的外利用が判明した場合には、お借入れの全額を一括で返済していただく場合がありますのでご注意ください。」とも書いてあります。

 

住宅金融支援機構は、今回の件をきっかけに2018年末における完済分を除いて契約した全てを点検すると発表し、今後はさらに多くの不正利用が発覚する可能性が出ています。

 

フラット35というのは、住宅金融支援機構が銀行から債権を買い取る仕組みですが、国からの補助金も出ている制度です。

投資家がリスクを負うため、今までは銀行が扱うローンよりも審査が緩いと言われてましたが、今回の件で厳しくなるかもしれません。

 

不動産業者の手口

今回の件では、不動産業者が借り手に対して居住用として借りるように指示したそうです。

また、購入金額を水増しして借り入れを多く引き出していたようです。

調査によると、借り手の多くは20代~30代前半の単身会社員で、東京近郊の1千万円~2千万円の中古マンションを購入していた。

17年前後の融資契約が大半だった。

(2019年8月31日 神奈川新聞) 

 

この不動産業者は113件で関わっており、そのうちの105件で不正が確認されたそうです。

「ほとんど不正利用w」

 

郵便物や職員の訪問で不正利用がばれます。

 

マンション投資は審査が厳しい?

少し前にかぼちゃの馬車事件がありましたが、この事件をきっかけに金融機関でローンの審査が厳しくなっています。

また、マンションは一棟物件と比べて資産性が低いため以前から審査が厳しく、頭金を多めに用意する必要があるとされてました。

 

ところがこれがフラット35であれば、頭金が少しでも収入があれば審査が通る可能性があり、購入額を水増しすれば自己資金がない人でも購入が可能です。

フラット35は勤続1年未満でも審査に通ることがあります。これならお金がなく転職したばかりの人でも不動産投資を始めることができます。

 

また、一般的には事業ローンやアパートローンよりも、住宅ローンの方が金利が低いので、利益も出しやすくなります。

 

例えば、事業ローンが3%、フラット35が1.4%だった場合です。

仮に2,000万円を35年の期間で、それぞれの金利で借りたとしたらどうなるでしょう。

金利が3%の場合は、月々の返済額が約7万7千円、金利が1.4%の場合は月々の返済額は約6万円となり、かなりの差が出ます。

他の収入と支出は同じなので、差額がそのまま利益にできます。

 

住宅ローンの返済中に転勤になったら

住宅ローンを利用している人の中には、最初は自分で住んでいても、転勤になったので賃貸として貸し出そうと考える人もいると思います。

しかし、こういったパターンでも勝手に賃貸に貸し出すのは契約違反となる恐れがあります。

やむをえないと賃貸に貸し出すことを認めてくれるケースがあれば、金融機関によっては賃貸に出す場合はアパートローンに借り換えるよう提案してくることもあります。

 

住宅ローンで借りて賃貸に貸し出すといった問題は過去にもありましたが、容易に不正利用に手を出すと後が怖いです。

一括返済を求められた場合に、売却額で返済できればいいのですが、担保割れで借金だけが残ったら悲惨です。

数千万円の借金が残って引き続き返済していても、実際は債権が安く譲渡されてるので、残った借金より安い値段で済んだ人もいます。いずれにしても高い勉強代です。

 

おわりに

今回はフラット35で発覚しましたが、住宅ローンを利用して投資物件を購入するのはどこの金融機関でも契約違反です。

なお、ローンを完済し終わった後は抵当権がなくなるので、賃貸物件として貸し出しても問題ありません。

住宅ローンを利用して不動産投資を行うのは契約違反なので、不動産に唆されても乗らないようにしましょう。

  • この記事を書いた人

侍従川

横浜で不動産仲介業とァイナンシャルプランナーをしています。

住宅ローンが老後に与える影響は大きいです。

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担当:不動産、ライフスタイル、投資、雑用

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資格:宅建士、管業、簿記1級、1級FP技能士、貸金、社労士、高所作業車

有酸素運動で脳を活性化させて予備試験に挑戦してます。

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