不動産投資の収益構造とコスト|なぜ不動産投資は資産を築けるのか

不動産

最近になって相続税対策目的で賃貸経営を始める人が増えています。

現金で保有するより不動産で保有した方が評価額が下がるので、それだけ課税される金額も少なくて済むからです。しかしながら、相続税対策ばかりに目がいってしまって肝心の収支が散々な結果となっているケースも多いです。

 

収益物件の販売図面には、ほぼ必ず満室時の「表面利回り」が記載されています。

しかし、この数字だけで投資判断をすると、実際には収支が苦しい物件を「お宝物件」と見誤ることがあります。

賃貸経営では、簡単でよいので収支計画を立て、表面利回りと実質利回りの両方で確認することが大切です。

 

この記事で分かること

  • 表面利回りと実質利回りの違い(計算例つき)
  • 賃貸経営の収入項目・経費項目
  • 減価償却費の考え方と建物の法定耐用年数
  • レバレッジ(てこの作用)のメリットと注意点

 

不動産投資が資産を築ける理由

不動産に限らず、資産を築くには投資が必要です。

不動産が資産を築けるのは、次のような理由です。

  • 収入の安定性
  • レバレッジ効果
  • インフレ耐性
  • 節税効果

 

安定したキャッシュフローが得られる

毎月の家賃収入は決まってるので、安定したキャッシュフローが得られます。

不動産投資は安定したキャッシュフローを得られることから、老後の年金代わりにも利用されてます。

 

自己資金の何倍もの運用ができる

不動産の購入はローンを利用するのが一般的なので、少ない自己資金で大きな運用が可能になります。詳しくは後述。

返済は家賃収入で賄い、ローンを完済すれば資産が残ります。

 

インフレに強い

一般的にインフレに強いと言われるのが株式と不動産です。

現金や預金だとインフレに対抗できませんが、不動産は資産防衛力が高いと言われます。

不動産はインフレ時に価値が上がり、家賃も上昇するので、資産の目減り対策になります。

不動産を保有してるエリアが発展したり、再開発で資産価値が上昇すれば、キャピタルゲインも狙えます。

 

高い節税効果

不動産の評価は現金とは異なります。

制度上の評価を下げることができるので、現金で保有してるより節税効果があります。

相続税対策として利用されることも多いです。

 

時間とともに資産が築ける

ローンの返済が進めば純資産が増加していきます。

減価償却を通して手元に資金が増えていき、再投資することで資産がさらに増えていきます。

ローンを完済すれば、資産が残ります。

建物が老朽しても土地は残るので、建て替え時は建物だけで済みます。

 

表面利回りと実質利回りの違い

不動産のローンに関係する資格

不動産の収益物件の販売図面には、必ず満室時の表面利回りが記載されています。

しかし、この表面利回りだけで投資判断してしまうと、実際は全然お金が残らないことがあります。

 

利回りは、投資した金額に対して1年間でどれくらいの収益を得られるかの目安です。

代表的なものに「表面利回り」と「実質利回り(ネット利回り)」があります。

 

表面利回りは、満室時の年間家賃収入を購入価格で割って求めます。計算が簡単で、販売図面に載っているのは通常こちらです。

 

実質利回り(ネット利回り)は、年間の家賃収入から年間の経費を差し引いた金額を、購入価格(必要に応じて諸費用を含む)で割って求めます。管理費、固定資産税、修繕費などのランニングコストを反映するため、実態に近い数字になります。

 

同じ物件でも、両者では次のように差が出ます。

項目 表面利回り 実質利回り(ネット利回り)
年間家賃収入 400万円 400万円
年間経費 考慮しない 70万円
計算式 400万円 ÷ 5,000万円 (400万円− 70万円) ÷ 5,000万円
利回り 8.0% 6.6%

このように、経費を反映するだけで利回りは8.0%から6.6%へ下がります。

表面利回りは物件比較の入口としては便利ですが、最終的な判断は実質利回りや収支計画で確認することが大切です。

さらに、空室や家賃下落、金利、税金まで織り込むと数字はもう一段変わります。

 

賃貸経営の損益項目

賃貸経営の損益項目は、賃貸経営がうまくいくかいかないかを決める原因となる項目です。

アパートの賃料収入といった毎月一定額の収入を得るためには費用がかかります。

賃料や共益費、更新料等は入ってくるお金が分かりやすいので把握しやすいと思います。

 

賃貸経営の収入項目

賃貸経営の収入は比較的把握しやすい項目です。

 

代表的なものには次のものがあります。

  • 毎月の賃料
  • 管理費・共益費
  • 礼金、保証金の償却部分、敷金の運用益
  • 更新料
  • 駐車場収入
  • その他付随して発生する収入

 

注意点としては、敷金は退去時に返却するため、預かった時点では収入ではなく預り金(負債)として扱います。礼金は返却しないため貸主の収入になります。

一般的な賃貸借契約では2年ごとに更新があり、更新料が発生する契約も多くあります(発生の有無や金額は契約内容や地域によります)。

 

事務所・店舗として貸す場合は保証金を預かることが多く、契約書に「解約時に〇%を償却する」と定められているのが一般的です。償却率は業種や契約内容(短期解約かどうかなど)で変わります。

貸主から見ると、後日返却する部分は預り金(負債)、償却部分は収入になります。

 

賃貸経営の経費項目

収入を得るためにかかった費用は、収入から差し引いて(経費として)処理します。

 

代表的な経費には次のようなものがあります。

  • 減価償却費
  • 支払利息(借入金の利息部分)
  • 固定資産税・都市計画税・事業税(該当する場合)
  • 維持管理費・管理会社への管理料・入居者募集の広告料
  • 修繕費(費用として処理できる部分)
  • 損害保険料
  • その他

 

ポイントをいくつか補足すると、借入金の返済のうち、元本部分は経費になりません(資産と負債の移動にすぎないため)。経費にできるのは利息部分です。

 

修繕費には「収益的支出」と「資本的支出」があります。

原状回復のような修繕は収益的支出として、支出した年に費用処理します。一方、建物の価値を高めたり寿命を延ばしたりする支出は資本的支出にあたり、支出した年に全額を費用にはできません。

資産として計上し、減価償却を通じて複数年に分けて費用化します。

 

減価償却費の考え方

簿記試験

建物や設備は時間の経過とともに価値が下がっていくため、購入時に全額を費用にするのではなく、使用する期間に分けて費用処理します。

これが減価償却費です。

 

費用処理する期間は、法律で「法定耐用年数」として定められています。

計算方法は定額法が原則で、建物以外の資産は手続きにより定率法も選べます。

 

主な建物の法定耐用年数(住宅用)と定額法の償却率は次のとおりです。

構造 法定耐用年数 定額法の償却率
鉄筋コンクリート造 47年 0.022
重量鉄骨造 34年 0.030
軽量鉄骨造(肉厚により異なる) 27年 0.037
木造 22年 0.046

⚠️ 減価償却の対象は「建物部分」だけです。

土地は時間が経っても価値が減らないものとされ、減価償却できません。収益物件を土地・建物セットで購入した場合は、取得価額のうち建物部分のみが対象です。

例えば、木造アパートの建物部分の取得価額が4,000万円の場合、定額法では次のように計算します。

4,000万円 × 0.046 = 184万円(年間の減価償却費の目安)

なお、中古物件では取得時点での経過年数に応じて耐用年数(償却期間)が短くなる計算方法があります。

実際の金額や年数は、税理士や所轄の税務署に確認することをおすすめします。

 

レバレッジ(てこの作用)とその注意点

不動産投資では、購入代金の多くをローンでまかなうのが一般的です。

自己資金が少なくても大きな金額の物件を運用できるため、「レバレッジ(てこの作用)」が働くといわれます。

 

例えば、物件価格1億円に対し、頭金1,000万円・借入9,000万円で購入した場合、自己資金1,000万円で1億円の運用を行うことになります(この場合のレバレッジは約10倍です)。

 

ただし、レバレッジは収益だけでなく損失も拡大させる点に注意が必要です。

  • 空室や家賃下落で収入が減っても、ローンの返済額は基本的に変わりません。
  • 借入金利が上がると返済負担が増え、収支が悪化します(変動金利の場合は特に影響を受けます)。
  • 利回りが借入金利を下回ると、借入を増やすほど収支が悪くなる「逆レバレッジ」が起こり得ます。

 

自己資金の割合や金利の動向も含めて、余裕を持った収支計画を立てることが大切です。

 

まとめ

  • 表面利回りは入口の目安。最終判断は実質利回りと収支計画で。
  • 収入は把握しやすいが、敷金・保証金は預り金(負債)部分と収入部分を分けて考える。
  • 経費はローンの利息部分・減価償却費・税金・管理費など多岐にわたる。
  • 減価償却の対象は建物部分のみ。土地は対象外。
  • レバレッジは収益も損失も拡大させる。金利上昇局面では特に注意。

 

不動産投資を行う上で理解しておかなければいけない利回りですが、不動産屋がいう利回りのほとんどは表面利回です。

 

 

ご注意

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の物件・投資手法の購入や売却を推奨するものではありません。

不動産投資には空室・家賃下落・金利上昇・価格変動などのリスクがあり、収益や元本が保証されるものではありません。

税務の取り扱い(減価償却・必要経費の範囲など)は個別事情により異なり、改正される場合もあります。具体的な税務・投資判断は、税理士・所轄税務署・各種専門家にご確認のうえ、ご自身の責任で行ってください。

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