不動産

危険負担はとは?契約から引き渡しまでに不動産が全焼してしまった時の問題

投稿日:2020年12月2日 更新日:

法律では、買主が申し込み、売主が承諾することによって契約は成立します。

重要事項説明と契約書に署名捺印したときに契約が成立すると思うかもしれませんが、別に契約書がなくても法律上は契約が成立します。

でも、契約書がないとお互いの合意した内容が分からなくなりますし、それが原因でトラブルになりかねないので、契約書を作って証拠としています。

 

契約書を交わしたのであれば、引き渡しはまだですが不動産は買主のものです。

物件を引き渡すのは後日ですが、契約を交わしてから引き渡しまでに天災地変によって建物が全焼・滅失したらどうなるでしょうか。

建物がないのにお金を支払わなければならないのでしょうか。それとも契約自体なかったことになるのでしょうか。

これが危険負担といわれる問題です。

危険負担といわれる問題

契約してから引き渡しまでに買主と売主が原因でない理由(災害等)で建物が滅失してしまい、どちらが負担するかの問題が「危険負担」です。

 

法律家や法律に詳しい人は、債権者主義とか債務者主義といった難しい言葉でいっています。

債権者・債務者というのは、あまり聞きなれない言葉かもしれないので少し解説すると、債権者というのは何かの権利を持っている人をいい、債務者というのは何かの義務をしなければいけない人をいいます。

例えば、お金の貸し借りをした場合は、お金を返さなければいけない義務がある人は債務者で、お金を返してもらえる権利がある人は債権者となります。

 

不動産には、同じ物が二つと存在しないという特徴があります。

民法の改正前と後とでは、不動産の扱いが債権者主義(債権者が危険を負担する)か債務者主義(債務者が危険を負担する)か違ってました。

特定物の危険負担では、契約を終えて不動産を引き渡してもらう権利がある債権者と、不動産を引き渡す義務がある債務者がいます。

旧民法では、債権者主義が採られていたため、引き渡しまでに震災等で建物が滅失した場合は、建物がなくても買主はお金を支払わなければなりませんでした。といっても実際の取引では特約をつけて変えるのが一般的でした。

 

令和2年4月1日に民法が改正される

既に書きましたが、令和2年4月1日に民法の改正が行われました。

民法は制定から120年が経過してたこともあり、今回の改正で大幅に見直されました。

 

以前の民法では簡略的過ぎたため、多数の判例等によって運用されてました。今回の改正で確立された判例や解釈を明文化して分かりやすくするという目的もあります。

経済・社会情勢を反映してるとはいえず、法定利率を変動利率にする等、現代の社会状況に合わせる改正もされました。

企業取引がグローバル化しているので、世界のルールに合わせるような改正もされました。

 

解除の要件や契約不適合責任、個人根保証契約といった不動産業界にもお馴染みの分野の改正もされています。

おかげで不動産業界では、2019年から2020年は毎月のように民法改正についての勉強会が実施されてました。

 

旧民法での扱い

旧民法では、不動産のような特定物の売買では、危険は買主が負担するとされていました。

契約から引き渡しまでの間に震災があって全焼してしまった場合は、建物がないのに買主は代金を支払わなければならないとされてました。

 

通常の取引では特約により債務者が負担するといった特約が付けられるのが一般的でしたが、ファイナンシャルプランナーの勉強会で聞いた話によれば、中には特約をつけない契約もあったそうです。

 

改正された民法の扱い

2020年4月からの民法では、実務に合わせるように改正され、危険は売主の負担となりました。

民法第536条

1.当事者双方の責めに帰することができない事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は反対給付の履行を拒むことができる。

2.債権者の責めに帰すべき事由によって債務を履行することができなくなったときは、債権者は反対給付の履行を拒むことができない。この場合において、債務者は、自己の債務を免れたことによって利益を得たときは、これを債権者に償還しなければならない。

反対給付の履行を拒むことができるとはまた難しい言葉ですが、売買代金の支払を拒むことができるといということです。

 

契約書では、引渡し前に天災地変により、売主と買主の責めに帰すことができない事由で建物が滅失する等、修補ができなかったり、莫大な費用が発生する場合は、お互いの書面で契約を解除することができるとしています。

修補できる場合は売主は直して買主に引き渡すことになります。

 

おわりに

契約書を見ると、契約条項にはこう書いてあるけど、特約には違うことが書いてあるということがあります。

契約書の内容と異なることを当事者で決めた時は、条文の最後に特約といった形で記載されます。

契約書の条文は原則的には書き換えず、最後に特約をおくことで、特約が優先されます。

 

今回のまとめ

契約から引き渡しまでに、天災地変といった売主と買主双方の責任でない事由によって建物が滅失した場合は、売主の負担となる。

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ライフプラン

横浜市にある不動産会社ライフプランです。

ファイナンシャルプランナーが常駐してるため、住宅ローンの相談からライフプラン相談まで対応してます。

 

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