不動産

専用通路が共有のため、隣の土地と合わせて1軒の家しか建てられない土地

投稿日:2020年1月19日 更新日:

建物を建てる場合に重要となる法律が建築基準法です。

建築基準法は、建物を建築する場合の最低基準を定めた法律です。

土地の所有権があるからといって自分の自由に建物を建てることができるわけではなく、建築基準法による制限を守らなければ、建物の建築は認められません。

 

建築基準法の中には「4m以上の道路に2m以上接道しなければならない」という接道義務がありますが、道路付けが不動産の価値を変えることもあるくらい道路は重要です。

 

一見すると普通の一戸建てに見えても、接道義務を満たしていないために再建築ができない不動産はたくさんあります。

 

このブログでも過去に接道義務を満たしていない場合は再建築ができないという事例を紹介したことがありますが、今回紹介するのは以前とは少し違う内容です。

また、道路は法律によって定義が異なりますが、ここでいう道路は建築基準法の道路をいいます。

専用通路狭いため隣の土地と合わせて1軒の家しか建てられない

今回紹介するのは、平成23年に判決があった、実際に裁判で争われた事例をもとにしています。古い街には、こういった土地は意外とあります。

 

登場人物

・B土地所有者Bさん

・Bさんから買取依頼を受けた不動産業者C

・AとBを15年以上前に販売した不動産業者D

AとBの共有は2.7mの幅の専用通路で、この専用通路は6mの公道に接していました。

専用通路は、見た目には道路のように見えても道路ではなく、土地をいいます。今回の例ではAとBで共有する土地でした。

共有道路

きっかけはBの土地を不動産業者に買い取ってもらおうと査定してもらったことからでした。

 

建物を建てる場合は、4mの道路に接道していなければならないので、AとBの建築に際して4mの道路を設置することを条件に建築確認を取得しましたが、Bさんが業者に査定を依頼した時点ではAとBの共有通路があるだけでした。

AとBの共有通路なので、AとBはそれぞれ単独で接道義務を果たしていません。

そのため、Bの土地の査定依頼を受けた不動産業者Cは、接道義務を満たしていないことから買取できないと回答しました。

この査定がきっかけでB土地が接道義務を満たしていないことを知ったB土地の所有者Bは、15年以上前にB土地を販売した不動産業者Dを相手取って訴えたというものです。

 

裁判結果としては、接道義務を満たしていないことの説明義務違反を認め、損害賠償請求の一部を認めました。

 

業者の説明義務違反の事項は、損害および加害者を知ってから3年、除斥期間は20年とされている(民法724条)

除斥期間が20年ということで認められましたが、20年を超えていたら認められなかったかもしれません。

 

接道義務を満たしていない不動産は多い

上の事例のように接道義務を満たしていない不動産は多いです。

接道義務を満たしていない土地は、建物を建てることが難しいので、一般の不動産よりも資産価値は下がります。

 

2m接道していないケース、再建築ができるけど隣の土地と合わせて1軒の建物しか建てられないケースなどがあります。

 

上の例は隣の土地と合わせて1軒の建物しか建てられないケースです。

AとBの共有部分の幅は2.7mなので、AとBを1つの土地とすれば、「6mの公道に2.7m接道している」ことになりますから、AとBの土地を合わせて1つの家を再建築する場合は接道義務を満たすことになります。

Bの土地単独では、建物を再建築することは難しいということなので、周辺の土地よりも資産価値は下がることになります。

 

土地を高く買ってくれるのは隣人?

ちなみに2m接道していないケースの場合であっても、隣接地を購入して再建築できるようになったケースもあります。

この場合の取引価格は、限定価格となるのが一般的です。

限定価格は、ある限定した場合に成立する不動産価格です。

隣接する土地の一部を購入すると接道義務を満たすのであれば、その土地の価値が上がりますから、限定価格が成立することになります。他の人から見たら他の土地と価値に変化ありませんが、その人には価値が上がる土地です。

 

土地が整形地でなかったり、道路付けが悪い土地は多いので、隣接した土地を購入することで価値が上がることもあります。

そういったことから土地を高く買ってくれる可能性が高いのは隣人といえます。

 

連棟式住宅

先ほど紹介した事例の土地に家を建て替えるとしたら、1つの建物を半分ずつに分ける連棟式の建物が考えられます。

1つの建物しか建築できないので、建物は1つですが、それぞれ所有者が存在することになります。

建て替えする場合は、それぞれの所有者が合意する必要があるので、建て替えはやはり難しくなります。

 

テラスハウスや専有部分の底地ごとに所有権を持つタウンハウスもあります。

 

一番の問題は、住宅ローンが組みにくいことだと思います。

ローンの審査すら応じてくれない銀行もありますが、金利は高くなるけど応じてくれる銀行もあります。

 

まとめ

今回の事例では、15年以上前の取引でも損害賠償請求が認められましたが、これが20年を超えていれば分かりません。

 

道路付けは不動産の価値に影響することが多いです。

一見すると問題ないように見えて、あまりおすすめできない不動産も数多く存在します。

不動産の取引では、契約前に重要事項説明がありますが、説明の仕方次第で実態が伝わらないこともあります。

聞きなれない言葉も多いので、分からないときはその都度担当者に質問することです。

  • この記事を書いた人

侍従川

横浜で不動産仲介業とァイナンシャルプランナーをしています。

住宅ローンが老後に与える影響は大きいです。

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不動産だけでなく、ライフプランの相談にも対応してます。

担当:不動産、ライフスタイル、投資、雑用

追加:写真、資格、名所めぐり

資格:宅建士、管業、簿記1級、1級FP技能士、貸金、社労士、高所作業車

有酸素運動で脳を活性化させて予備試験に挑戦してます。

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