不動産を購入する際、ほとんどのお客様は住宅ローンを利用しています。
本来、不動産取引と住宅ローンについては別の件ですが、ほとんどのお客様は住宅ローンを利用して不動産を購入するので、通常はセットで考えられています。
実際の購入では、お客さんがスムーズに住宅ローンが借りられるように不動産会社がサポートをします。
当社は住宅ローンの手続き業務を無料で行っていますが、中には手数料として10万円以上かかる業者もあるようです。
ローン手続きも含めて仲介手数料に含まれるといった過去の裁判例もありますが、有料でやっている不動産業者は多いです。
さて、今回はフラット35をテーマとして取り上げます。
数年前のフラット35は、審査に時間がかかるうえ金利が高く、利用しにくいローンの一つでした。
しかし、現在は改善されたため利用しやすいローンになりました。
他の銀行より審査の基準が分かりやすいので、特に自営業者の人にとって有利な条件で住宅ローンが組めるかもしれません。
フラット35とは
フラット35は、住宅ローンの一つで、住宅金融支援機構が住宅ローンを証券化して投資家へと証券を発行することに特徴がある長期固定型の住宅ローンです。
フラット35の仕組みは、まず住宅ローンの利用者は金融機関へフラット35の利用を申込み、金融機関は住宅ローンの債権を住宅金融支援機構へ売却します。
そして、住宅金融支援機構は買い取った債権を証券化して投資家に発行します。
要は債権の証券化でリスクは投資家へ移転し、これにより長期の固定金利が可能となるということです。
民間の住宅ローンでは、借り入れる人の職業や勤続年数が審査されますが、借りる人の勤続年数が1年未満ではなかなか審査が通りません。
その点、フラット35であれば、民間の住宅ローンとは審査基準が異なるので、勤続年数が1年未満でも審査に通ることがあります。
また、民間の住宅ローンだと、自営業者や派遣契約に対する審査が厳しく、所得が多くても審査落ちという事が珍しくありませんが、フラット35であれば審査基準が異なるので通りやすいです。
以前、「フリーター家を買う」というドラマがありましたが、ドラマのように働いて収入があれば、家を買うことは可能です。
ちなみにローンを利用しないのであれば、無職でも家を買うことができます(全額現金)。
フラット35を利用するにあたっての要件
フラット35を利用する際は、借入者や物件に対して要件があります。
フラット35
- フラット35を申込んだ時の年齢が70歳未満であること
- 日本国籍、永住許可があること
- 年間住宅ローン返済額の年収に占める割合が基準を満たしていること、例えば年収が400万円未満なら30%、400万円以上なら35%。
- 返済期間が15年以上であること
- 借り入れ額が、物件購入価額以内で100万円以上8000万円以内であること
- 一番抵当権を設定できること
3.の年収に占める割合というのは、年収が450万円であれば、450万円の35%の157万円までが住宅ローンの年間の負担上限です。
6.の一番抵当権は担保の一種で、住宅ローンの返済がない場合に不動産を競売にかけて回収できるという権利で、換金したら一番に回収できます。
また、上記要件以外にも建物に対する要件などがあります。
フラット35を利用する際に注意するポイント
フラット35には、他の金融機関の住宅ローンとは異なる特徴があります。
例えば、フラット35の住宅ローンは、物件価格に対する融資額の割合が9割以上か9割未満かによって金利が異なります。
金額が大きいので0.3%でも金利が違うと総負担額に差が出ます。
また、対象物件が省エネ基準などを充たす場合は、フラット35Sが適用されて住宅ローンの金利がさらに下がることもあります。
他にも借り入れ期間によって金利が変わります。
2018年5月の段階では、返済期間が20年以下と21年以上とでは、0.05%程違います。差が縮小しましたが3年前は0.2%違ってました。
融資の際には手数料がかかりますが、融資手数料は金融機関によって違います。
一般の金融機関では、住宅ローンの利用の際は、債務者(お金を借りて返す人)が亡くなった場合に備えて団体信用生命保険(以下団信)に加入します。
団信に加入していれば、債務者が死亡した場合でも保険金で残りの借金を返済するので、金融機関は借金を回収することができ、遺族はそのまま住宅に住むことができます。
しかし、フラット35では、この団体信用生命保険への加入が任意です。
また、フラット35では、融資の対象となる住宅が住宅金融支援機構の定める基準に適合していることが必要で、適合証明書が必要となります。
他にも、一位の抵当権を設定できること、床面積が一戸建てなら70㎡以上、マンションなら30㎡以上あるといった条件も満たす必要があります。
借入可能な金額の計算を適用金利で計算するため、年収が同じでも借り入れた時の金利によって借り入れ可能な額が変わります。
重要なのは返せる金額で利用すること
現在の日本では、過去最低水準の金利となっており、他の先進国と比較しても突出して住宅ローンの金利が低くなっています。
住宅ローンの利用実態をみても、低金利なので利用しやすくなっているようです。ただ、不動産の購入については、まだまだ物件ありきで住宅ローンに対する検証はあまりされてないように思います。
住宅ローンの返済期間中に、子供の教育時期と重なる人は多く、住宅ローンを借入可能な上限で利用すると将来の家計に大きな影響を与える可能性があります。
フラット35は、リスクを考慮して高めの金利で審査が行われる変動金利よりも借入がしやすくなっています。
そのため、フラット35を利用する場合は、変動金利を利用したときよりもライフプランを立てることが重要になってきます。
フラット35と変動金利を比べてみると、変動金利の方が審査金利が高いため、実際に借りられる金額は低くなります。また、フラット35よりも変動金利の方が実質金利が低くなります。
つまり、同じ年収ならフラット35を利用した方が大きな金額を借りられるので、より自己責任で返済能力を考える必要があるということです。
おわりに
フラット35は、借り入れがしやすいのがメリットなのですが、裏を返せば将来のリスクが高い商品といえます。
不動産会社とは、引き渡しが終わったらしたら関係が終了しますが、ローンは借り入れたときから付き合いが始まります。
住宅ローンの借入前に、教育資金や老後資金とのバランスを見ておくことが重要です。