ここ数年はファイナンシャルプランナー(以下FP)をテレビや雑誌で見かけるようになりました。
お金の専門家と紹介されるものの、実際に何をする人なのか知られているとは言えません。
先日も帰宅してテレビをつけたらFPが電気代と食費についてのアドバイスをしていましたが、テレビの情報だけだと電気代や食費の節約をアドバイスするだけの怪しい人と勘違いする人もいそうです。
FPの知名度はメディアを通して拡大したものの、今も不動産を購入する際にFPに相談する人は1割に満たないようです。
FPというのは、個人のお金に関するアドバイスをする専門家です。
不動産の購入前にFPに相談すると、借入れた金額の毎月の返済額だけでなく、将来のリスクまで知ることができるメリットがあります。
ファイナンシャルプランナー(FP)の扱う分野
FPがお金を扱う専門家といっても漠然としすぎています。
お金と一口にいっても、財布に入っているお金、税金や社会保険料として徴収されるお金、利息や配当金として受け取るお金、会社が国から給付された助成金など……実に様々です。
FPが扱うのは、様々あるお金の中でも個人に関係するもので、金融資産、不動産、ライフプラン、保険、タックスプランニング、相続・事業承継といった6分野にわたります。
・金融資産運用設計
・不動産運用設計
・ライフプランとリタイアメントプラン
・リスクと保険
・タックスプランニング
・相続・事業承継
上記はFP協会が発行してるテキストのタイトルですが、分かりやすいので引用させてもらいました。
FPが扱う分野は広いので、全ての分野に精通しているとは限りません。
といっても、FPはライフプランの専門家といわれるように、ライフプランだけはどのFPも対応しているようです。
また、ライフプランの分野以外であまり専門的な話だと、FP以外の資格が必要なこともあります。
例えば、投資なら投資助言行登録、不動産なら宅地建物取引業登録、保険なら募集人登録が必要といったようにです。
ファイナンシャルプランナー(FP)は住宅ローンの相談に対応している
ファイナンシャルプランナー(FP)は、ライフプランの専門家といいましたが、ライフプランという言葉を知ってても、ライフプランを立てたことがある人はほとんどいないのではないでしょうか。
ライフプランを訳すと人生設計になります。
ただし、人生設計があくまで将来の希望や計画を指しているのに対し、FPにライフプランを相談した場合は、お金についてその希望や計画が実行可能かどうか、だめならどうすれば達成できるかを考えます。
ライフプランの相談では、顧客の将来の希望や計画を聞いたうえで、将来のお金の流れを数値で一覧化して問題点や改善を考えていきます。
この数値の一覧化は、お金の流れから問題点や改善策を捉えるので、住宅ローンを利用する人にとって、過大なリスクを抱え込まないための大きな助けとなります。
ネット上には無料でライフプランをシミュレーションできるサイトがありますが、無料のものだと平均的なデータをもとに作成するので、老後の部分については参考にならないことが多いです。
年金については、年金定期便と現在の報酬をもとに計算できるので、老後について概算でいいので金額を知っておけば、この先対策を立てやすくなります。
FPと不動産会社のどちらにローン相談をする?
一般的に言われるのが、「FPは住宅ローンのことは詳しいが不動産は素人、不動産屋は不動産のプロだが住宅ローンについてはよく分かってない」ということです。
不動産は同じ商品がないので個別性が高く、プロでも判断に迷うことが起こります。
また、不動産取引を経験するのは一生でそう何度もないので、FPが最も苦手とする分野なのは仕方ありません。
不動産会社の営業には、お客様の役に立とうと頑張る良心的な人が多いですが、中にはローンさえ通ればお客さんはどうなっていいと考えている不届き者もいます。
最近もフラット35でありましたが、不届き者の中には何が何でもローンを通すために書類を偽造する者さえいます。
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フラット35を利用して投資物件を購入することは禁止されている
2019年8月30日のニュースを見ていたら、「フラット35 投資目的で悪用」というニュースがやってました。 そのニュースで、住宅金融支援機構のフラット35が投資目的で不正に利用されており、105件の不 ...
確かにマイホームが欲しいのは分かりますが、ローンが通らないということは、大抵は無理がある借入額とか何かしら問題があるということです。
収入に対してローンの返済額が大きければ、収入のほとんどがローン返済にまわってしまい、将来的に破産する可能性があります。
むしろローンが通らないということで破産を回避できたと前向きにとらえることも大事です。
自営業者のように、中には収入は多いけど所得は低いという人もいます。そういう人は資金計画を立てることで借入しやすくなります。
不動産会社が行う資金計画というのは、金融電卓に借入額を入力して毎月のローン返済額を提示するだけのものですが、これすら行わずにローンを借りる人もいます。
また、不動産会社は、毎月のローン返済額を教えてはくれますが、その他のランニングコストについては教えてくれません。
不動産を保有するとローンの他に税金やリフォーム代がかかりますが、長く賃貸暮らしだった人には気付かないこともあります。
単純に家賃とローン返済額を比べてどちらがいいかを判断してしまうと、後でランニングコストを知って驚くことになります。
せめてランニングコストを含めたローンと家賃を比べることを提案するようなFP、不動産会社に相談してほしいと思います。
マンションと一戸建てとでは管理の運営も異なりますし、対象の法律も違うので、購入してから気づく人も多いです。
修繕積立金を毎月積み立てているからリフォーム代は必要ないと思ったら、壊れた設備を直すのに数百万円かかってしまったといった具合にです。
修繕積立金を充当できるのは特別の管理に要する場合です。
ファイナンシャルプランナーに相談できる不動産会社であれば、購入後のローン見直しや自宅の売却相談にも対応してくれます。
そう考えれば、ローンの相談先としてベストなのは、ファイナンシャルプランナーが常駐している不動産会社といえます。
不動産探しでファイナンシャルプランナーに相談するタイミング
今まで住宅ローンの相談を数々受けてきましたが、もっと早いタイミングで相談してくれれば良かったのにと思うことがたびたびあります。
ほとんどのお客様は、不動産が決まってローンを組むだけというタイミングで相談をくれますが、出来れば物件探し自体をする前に相談するのがベストです。
なぜかというと物件を気に入ってしまったあとでは、予算オーバーを伝えても納得して頂けず、何とか買う方向でアドバイスを求められるからです。
6,000万円の新築を紹介した後に4,000万円の新築を紹介したら普通はガッカリするように、予算を下げる提案は納得してもらいにくいです。
その人が将来も無理なく返済していけるローンが月8万円の場合に、月12万円のローンを組くのであれば4万円の節約や副業が必要です。
これが1年だけならまだしも、25年、35年という長期間続けていかないとなると、どこかで無理も生じます。
子供の学資保険を解約してローンに充ててしまえば、子供の進学に影響が出ることも考えられます。
月々のローン返済額は固定費なので、金利が低下しない限り安くなりません。
家を買ったら不動産会社との関係は終わりですが、ローンとの関係はこれから始まります。
無理のないローンを組まないためには、相談するタイミングが大事です。
まとめ
不動産探しでファイナンシャルプランナーに相談するメリットについてのまとめです。
・ライフプランを立てて予算の最適化が図れる
・金利タイプや返済方法を相談できる
・将来のリスクを知ることができる
・団体信用生命保険に加入した後、保険の見直しを相談できる
・税金や補助金についてアドバイスしてくれるFPもいる
・資産形成の方法や借り入れ後のローンの見直しも提案してくれる
・勢いで購入することを避けられるかもしれない