ファイナンシャルプランナー(FP)の勉強会でも不動産業の講習会でも、最近は老後に関するテーマが多いと感じます。
FPには、リタイアメントプランといって老後の人生設計を扱いますが、まだ若い人にとっても老後はいずれ訪れますから、老後に向けた準備は必要です。
ある雑誌社が大学生に対してどんな不安を抱えているかアンケートを取ったところ、ニュースでも再三老後不安について取り上げられることもあってか「老後が不安」と回答する大学生も結構いたとか……。
最近参加したFPの勉強会では、「企業年金の実情」「老後に向けた資産づくり」「確定拠出年金で築く老後資金」「空き家の現状」と、老後と関係するテーマばかりです。
ここ1年に行われた不動産協会の講習のテーマは、「不動産と相続」「不動産会社がもらえる助成金」「広告の規制」「インスペクション」「老後の不動産活用」です。FPほど老後に直結しているテーマばかりではありませんが、不動産業界でも空き家や相続、老後といったテーマは注目されています。
不動産を保有していれば、不動産を売却して老後資金に充てたり、リバースモーゲージといった活用も可能です。立地が良ければ建物を貸し出して収入を得ることも可能です。
公的年金だけでは老後生活が厳しいと知られるようになってからというもの、老後問題は多くの人の関心の的となっています。
老後に必要な資金は増加傾向
老後に必要といわれる資金は増加傾向にあるようです。
理由としては、平均寿命が延びたこと、物価が上昇していること、趣味が多様化していること、といったものがあります。
何より平均寿命が延びたことは、老後に必要な資金が増えるだけでなく、医療費、介護費といった支出も増加する原因です。
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先日、高齢者が万引きで捕まりましたが、万引きした理由が「おいしいものが食べたかった」からだそうです。
何だかマスコミの印象操作が否めませんが、今後も物価の上昇が続いて消費税増税が予定通り行われれば、高齢者の生活はより苦しいものとなることが予想されます。
住宅を購入した後の人から、老後についての相談をされることもありますが、将来の生活に対する見通しが甘い人も多い気がします。
日本が好景気のときは、「なんとかなるさ」でうまくいくことも多かったのですが、今の日本では昔のような好景気を期待するのは難しいので、「なんとかなるさ」はないと思っていいでしょう。
定年して悠々自適に老後生活を……なんて思っているのであれば、最低限の年金の知識と不労所得がないと達成は厳しいかもしれません。
皮肉なことに必要な老後資金を増加させているのは、日本人の平均寿命が延びたことです。
年金制度が出来た頃は、退職後の平均余命も今よりずっと短く、年金受給者を支える現役世代も多かったのですが、現在は退職後の平均余命は倍以上になり、年金受給者を支える現役世代はぐっと減ってしまいました。
定年退職後に誰にでもできることといえば、支出を抑える等の生活水準を下げることくらいです。
現在は、定年退職しても65歳までは企業に継続雇用が義務付けられましたが、その後も働き続けている人はたくさんいます。
平均寿命が長い今の時代に60歳で定年退職するのはリスクにもなりかねないので、転職したり独立することも視野に準備しておくといいかもしれません。
若い頃から資金作りを意識して仕組みづくりを行うことで、無理のない積み立てが可能となります。
当然、目標に向けた行動が早ければ早いほど選択肢は増えますし、有利となります。
ゆとりある老後生活ができるかどうかは、早いうちから準備しておくかどうかによります。
自営業の人の老後対策
自営業の人は、自営業が長ければ長いほど長年会社員を勤めた人と比較して公的年金の受取額は少なくなります。
テレビや雑誌などで老後生活では、平均老後世帯でも毎月6~7万円が不足しているといわれていますが、自営業の期間が長い人はもっと不足します。
国民年金だけでは満額でも月6.6万円なので、長年自営業の人がサラリーマン生活をしてきた人と同じように引退生活をしようと思えば、毎月6~7万円不足する程度では済みません。
自営業の人にとっての老後への対策といえば、一生涯働き続けることでした。
働き続けることで不足する老後収入を補うのですが、今なら確定拠出年金や国民年金基金、小規模企業共済を利用することで老後不安を解消できます。
国民年金のみの期間が長ければ長くなるほど、会社員と比較して年金額は少なくなるのですが、このことを知らない自営業の人は実は多かったりします。
年金を受け取る間近になってから、初めて年金額を知って不安になる人もいます。
しかし、年金は法律に基づいて運営されているので、老後になってからでは出来る手段は限られています。
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税制優遇のある年金と不労所得
老後生活の資金をためる手段として現在注目されているのが、国民年金基金や確定拠出年金といった税制優遇のある年金です。また、一部の人からは不動産投資も人気です。
国民年金基金や確定拠出年金のメリットは、税制優遇があるうえ小額から始められます。
違いは、国民年金基金が年金額が確定しているのに対して、確定拠出年金は自分で運用することによって自分で年金を作っていきます。
確定拠出年金や国民年金基金には、3つの税制上の優遇があります。
・掛け金が全額所得から控除される
・運用期間中の課税が繰り延べされる
・受取時は公的年金と同じ扱いで課税される